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個人再生Q&A

個人再生Q&A一覧

個人再生手続について、よく質問される事項をまとめました。

Q1 個人再生とは簡単に言うとどんな手続きですか

Q2 個人再生と自己破産の違いは何ですか

Q3 借金はどのくらい減りますか

Q4 個人再生の申立は簡単にできますか

Q5 会社が個人再生手続を利用することはできますか

Q6 パートやアルバイトでも個人再生手続を利用できますか

Q7 清算価値保証原則とは何ですか

Q8 個人再生手続を利用した場合、預金や生命保険はどうなりますか

Q9 個人再生は、子供や家族に影響を与えますか

Q10 個人再生は、連帯保証人に迷惑がかかりますか

Q11 個人再生をすると会社に知られますか

Q12 個人再生を申し立てた後も賃貸マンションに住んでいられますか

Q13 個人再生の申立をすると、取立ては止まりますか

Q14 再生計画が認められると、計画の履行は誰かに監督されますか

Q15 小規模個人再生において、再生計画が取り消されるのはどのような場合か

Q16 一部の債権者を除外して個人再生をすることができますか

Q17 個人再生をするとローン中の車はどうなりますか

Q18 住宅ローン特則とは何ですか

Q19 住宅ローン特則と個人再生手続の関係について

Q20 住宅ローン特約を利用するための要件について

Q21 自己破産ではなく個人再生手続を利用すべき場合とは

1.個人再生手続とは簡単に言うとどんな制度か。

 5000万円以下の債務を負っている個人債務者のうちで、将来に継続的に又は反復して収入を得る見込みがある方が、将来の収入によって一定の額を原則3年の間に分割して返済する計画(再生計画)を作り、その再生計画について、債権者の意見を聴くなどした上で、裁判所がその再生計画を認めた場合、その再生計画に従った返済をすることで、残りの債務が免除される手続です。

2.個人再生と自己破産の違いは何ですか。

① 自己破産は免責決定を受ければ原則として全ての借金を支払う必要がなくなりますが、個人再生は借金を減額した上で、原則として、3年間は再生計画で定めた金額を各債権者に返済していかなければなりません。

② 自己破産の場合は、浪費やギャンブル等は免責不許可事由となりますが、個人再生の場合はこのような規定はありませんので再生手続の申立は可能です(もっとも、浪費等が著しい場合や負債が出来た経過の不誠実性が顕著な場合には、裁判所による開始決定が得られなかったり、債権者の反対によって再生計画が認められない場合があります)。

③ 個人再生の場合には、破産者のような資格制限はありません(自己破産の場合、破産手続中は、生命保険募集員、警備員等になれません) 。

④ 自己破産の場合は、競売、売却等により、住宅を失いますが、個人再生の場合、住宅を維持できる可能性があります。

⑤ 破産手続は、基本的に誰でも利用することができますが、小規模個人再生、給与所得者再生は、利用できる債務者には条件があります。

3.借金はどのくらい減りますか。

 債務額によって異なりますので、以下の表を参考にして下さい(小規模個人再生の場合)。

基準となる負債の額 

最低弁済額(支払う最低金額) 

100万円未満

基準となる負債金額の全額

100万円以上500万円未満 

100万円 

500万円以上1500万円未満 

基準金額の1/5 

1500万円以上3000万円以内 

300万円

3000万円以上5000万円以内 

該当金額の1/10(上限500万) 

 基準となる負債の額には住宅ローンや抵当権などの実行等(競売など)によって債権者が返済を受けることができると見込まれる債権等を除きます。

 また、破産した場合の債権者への予想配当額(清算価値)を上回る金額を返済するという内容でなければ再生計画は認められません。

4.個人再生の申立ては簡単にできますか。

 個人再生手続は、申立人(個人債務者)が主体となって手続に関与しなければならない手続です。

 申立書や添付資料を作成することはもちろんですが、必要な資料を揃えたり、資料から必要なデータを抽出して弁済額算出のための計算をしたり、再生計画案など法律の要件を満たしたさまざまな書類を裁判所に定められた期限内に提出する必要があります。

 それらの法律の要件を満たした書類を期限内に作成・提出できなければ、それまで折角進めてきた手続がすべて無駄になってしまうこともあります。

 この点、裁判所は、基本的には提出する書類の作成等についてアドバイスしてくれませんので、個人再生手続に関する知識が必要となります。表計算ソフトを使用した細かな計算も必要です。また、場合によっては個人再生委員が選任され、その報酬金相当額を予納する必要があります。

 したがって、弁護士等の専門家に依頼せずにこの手続を進めていくことは、自己破産申立より困難ですので、個人再生手続の多くが、弁護士等の専門家が関与した申立てとなっています。

5.会社が個人再生手続を利用することはできますか。

 「個人」再生と言われているように、株式会社などの法人はこの手続を利用することはできません。
 個人事業者や農業を営む方などは個人に該当しますので、この手続を利用することができます。

6.パートやアルバイトでも個人再生手続を利用できますか。

基本的な要件は以下の2つです。

①借金の総額が5,000万円を超えないこと(住宅ローン、担保のついている債権のうち担保で回収できる額、罰金などは除きます。)。

②将来において、反復継続した収入が見込まれる者であること。

パートやアルバイトの方であっても、これらの要件を満たせば個人再生手続を利用することができます。

 再生計画に基づく弁済総額は、破産の場合の配当額(清算価値)を上回るものでなければならないという原則をいいます(民事再生法174条2項4号参照)。

 例えば、現金や預貯金、保険解約返戻金、自動車などの資産の総額が120万円ある場合には、総債務額が500万円で通常の最低弁済額が100万円である場合でも、清算価値の金額である120万円以上を分割返済するという内容の再生計画案を作成しなければ、裁判所の認可が得られないことになります。

 破産した場合、一定範囲の財産(差押禁止財産、自由財産等)を除いて債務者が持っている財産は売却され、債権者に配当されます。

 一方、個人再生は、破産のように、債務者の全ての財産を処分(清算)して債権者に分配する必要はありません。

 しかし、上記7でも述べたとおり、個人再生手続には「清算価値保証原則」があり、破産した場合の債権者への予想配当額を上回る金額を返済するという内容の再生計画でなければ、認可されません。

 従って、ローンを支払い終わった高額の自動車や高額の解約返戻金、退職金がある場合、清算価値が高額になりますので、再生計画において、毎月の収入では清算価値以上を返済できない場合があります。このような場合は、財産を処分して返済にあてる必要が出てきます。

 個人再生の申立てをすると戸籍や住民票に記載されて、何かの事情で学校などに提出する際に相手にわかってしまうのではないかという不安をお持ちの方がいらっしゃいます。

親が個人再生申立をしても、子供の進学、就職、結婚などに影響することは通常ありません。家族が連帯保証人になっていない限り、家族への影響もありません。家族の財産が差押えされるということもありません。

 迷惑はかかってしまいます。

 主債務者が個人再生の申立をすると、通常、債権者は連帯保証人に対して請求をするからです。連帯保証人は支払を拒めません。

 そして、個人再生手続によって主債務者本人の借金が減額できても、連帯保証人の負債は減額されません。
 従って、迷惑をかける以上、可能であれば、手続を利用する前から連帯保証人とよく相談しておくことが重要です。

 また、連帯保証人は通常、債権者から残債務の一括請求を受けますので、連帯保証人も並行して、なんらかの債務整理手続をする必要が出てくる場合が多いです。
 債権者は、連帯保証人から従前の契約通りの弁済が継続する限り、必ずしも一括請求にこだわらないことが多いようです。
 個人再生の依頼を受けた弁護士が、連帯保証人の債権者との交渉の依頼を受けることも多いです。

11.個人再生をすると会社に知られますか。

 裁判所や債権者から会社宛てに個人再生申立をした旨の通知をすることはありませんので、ご自分で言わないかぎり(又は会社から借り入れをしていない限り)会社に知られる可能性は極めて小さいと言えます。

 ただ、退職金見込額証明書など、個人再生申立てをするにあたり、裁判所への提出書類で会社に作成してもらわなければならない書類がありますので、事実上知られてしまう可能性はあります。

12.個人再生を申し立てた後も賃貸マンションに住んでいられますか。

 家賃の滞納がない場合には出ていく必要はありません。

 従って、個人再生手続の申立をすると決めた場合でも、出て行かないですむよう、家賃は払っておく必要があります。

 家賃を滞納している場合には、賃貸人から賃貸借契約を解除されます。明け渡しを求められると賃貸マンションを出ていかなくてはなりません。

13.個人再生の申立をすると、取立は止まりますか。

申立をすれば止まります。

申立をする前でも弁護士等に依頼し、受任通知を送ってもらえば取り立ては止まります。
ガイドラインにより、貸金業者は、弁護士に委任した旨の通知、又は調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な理由なく支払請求をすることを禁じられているからです。

14.再生計画が認められると、計画の履行は誰かに監督されますか。

 再生計画が認可され、確定すると、再生手続は終結します。債務者は、再生計画に従って弁済を初めていくことになります。

 この弁済にあたっては、誰かに監督されるということはありません。債務者が自主管理をしながら弁済してくことになります。

 但し、自主管理であるからといって、再生計画に従った弁済を怠ったりすると、再生債権者の申立てによって、折角認可された再生計画が取り消されてしまうおそれがありますので、十分な注意が必要です。

 どうしても返済が困難になったときには、一定の要件を満たせば、再生計画の変更や免責の制度もありますので、専門家に相談してみることをおすすめします。

 再生計画の取消事由は、通常の再生手続と共通する取消事由と小規模個人再生手続に特有の取消事由の2通りあります。

(通常の再生手続と共通の取消事由)

1 再生計画が不正の方法により成立したこと(民事再生法189条1項1号)

2 再生計画の不履行(同2号)

3 再生義務者の義務違反(同3号)

(小規模個人再生手続に特有の取消事由)

清算価値保証原則に反することが明らかとなった場合。

16.一部の債権者を除外して個人再生をすることができますか。

できません。 

任意整理では必ずしも全部の債権者と対象とする必要はなく、一部の債権者だけ処理することができますが、個人再生では必ず全部の債権者を手続に加える必要があります。

 従って、例えばサラ金の借金だけを個人民事再生で処理して、知人や銀行の借金は手続から除くといった特別の取扱いはできないことになります。

17.個人再生をするとローン中の車はどうなりますか。

 ローンの支払いが終わっていない車の所有権はローン会社にあることが通常です(これを、所有権留保といいます。)ので、個人再生の申立てを行うと、ローン会社は車を引き上げて処分し、残債権に充当してしまうことになるでしょう。
 但し、車検証の所有名義がローン会社でなく、ディーラーである場合は、ローン会社からの車両の引き揚げ要求を拒絶する必要があることがありますので、弁護士とよく相談する必要があります。

18.住宅ローン特則とは何ですか。

 昨今の不況の中、払えるはずであった住宅ローンが払えず、競売任意売却の方法により、住宅を手放すことを余儀なくされるケースが増大しているようです。

 住宅ローンには、金融機関により、住宅に抵当権という担保が設定されているのが通常です。
 従って、ローンが支払えなくなると、住宅ローン債権者(金融機関)は抵当権を実行(競売)して不動産をお金に換え、又は住居の任意売却を促して、優先的に返済に充てることになります。

 抵当権(担保)には優先して返済を確保する効力があり、この効力は、債務者が破産又は民事再生手続の中でも変更されません。従って、通常は住宅を手放さなければならないことになります。

 個人再生手続における住宅ローン特則は、個人にとっての住宅の大切さに着目して、不幸にして苦境に陥った住宅を持つ個人の方の経済的再建を支援するために設けられた制度で(住宅ローンの支払のために多重債務化していく人も多いのが実情です)、小規模個人再生手続、給与所得者等再生手続と組み合わせて利用し、住宅を手放さずにすむようにするものです

住宅ローン以外の負債はカットを受けますが、 住宅ローン自体はカットされません住宅ローンについては今までどおりの条件で支払うか、支払い条件を変更(リスケジュール等)して最後まで支払うかの選択をします。

 裁判所が再生計画を認可すると、住宅ローン以外の負債は3年から5年かけて支払い、住宅ローンについては、住宅ローン債権者と協議して定まった条件に従って、引続き支払いをしていくことになります。

19.住宅ローン特則と個人再生手続の関係について。

 住宅ローン特則は、小規模個人再生や給与所得者等再生のような特別の再生手続ではありません(「住宅ローン再生」のような手続は無い)。

民事再生手続において、住宅ローンの返済だけを特別に扱おうという制度にすぎません。

 従って、申立てをするには、利用する個々の再生手続の要件を満たした上で、更に住宅ローン特則を利用するための要件をも満たすことが必要になります。

20.住宅ローン特則を利用するための要件について。

住宅ローン特則を利用するための基本的な要件は次の二つです。

①「住宅」の要件

②「住宅ローン」の要件

それぞれの要件について原則的には以下のとおりです。

①「住宅」の要件

 1 個人の債務者が所有し、建物の床面積の2分の1以上が自己の居住の用に供されるものであること

 2 複数の建物がある場合には、そのうち主に住んでいる建物であること

②「住宅ローン」の要件

 1 住宅の購入または改良に必要な資金に関するローンであること

 2 債権に分割払いの定めがあること

 3 住宅に住宅ローンのため(だけ)に抵当権が設定されていること

21.自己破産ではなく個人再生手続を利用するのがよい場合とは。

 経済的更生の観点からいいますと、法的に借金がなくなる自己破産を利用すべきですが、以下の場合には自己破産ではなく、個人再生手続を利用する方がよいことになります。

 ① 破産手続で自由財産とは認められない高価な財産(住宅等)を持っており、その財産を維持したい場合

 ② 破産手続における制限職種(保険募集人、警備員等)に実際に就いており、一時的にも活動を停止することができない場合

 ③ 免責決定が得られる可能性が無い場合

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弁護士:須山幸一郎

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