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相続手続の基礎知識

相続の基礎知識

相続手続チェックリスト


 死亡後の相続手続の流れは以下のとおりです。手続の中には、一定の期間内に対応が必要なものがありますので、注意しましょう。以下に記載した事項は、いずれも重要なものですので、意味が分からない、自分では出来ないといった場合には、遠慮なくご相談にお越しください。

【相続チェックリスト】

死亡の確認 
死亡届の提出7日以内死亡届の用紙は、死亡診断書と一体になっており、死亡診断書には、医師の署名・押印が必要です。通常、葬儀終了後に、死亡届の写しを葬儀業者から受け取ります。
 この死亡届の写しは、遺族年金の手続、簡易保険の請求ほか、各種手続に必要となる場合がありますので、必ずコピーして使用し、手元に必ず1枚を残しておくようにしましょう。
死亡届記載事項証明書の請求遺族年金・簡易保険の請求手続(保険金額が100万円を超えるもの)に限って発行される証明書です。
世帯主変更届亡くなった方が世帯主であった場合、新たな世帯主の届出をします。但し、明らかに世帯主が分かる場合には、自動的に世帯主の変更が行われるようです。
国民健康保険、後期高齢者医療等の資格喪失届の提出、保険証の返却ほとんどの役所は、死亡届と連動しています。
国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の精算手続 
健康保険の資格喪失届の提出、保険証の返却給与所得者で勤務先の健康保険に加入していた場合には、勤務先の会社が資格喪失の手続きを行います。そのため、扶養に入っていた方も含め、全員の保険証を返却します。
国民健康保険への加入

亡くなった方が健康保険に加入しており、その扶養に入っていた場合には、国民健康保険への加入が必要となります。
 亡くなった方が国民健康保険に加入していた場合、国民健康保険は全員が被保険者で扶養の概念が無いため、世帯主変更の手続を取ります。

葬祭費・埋葬料の請求亡くなった方が国民健康保険の加入者であった場合、市区町村から一定額の葬祭費が喪主に支払われます(時効期間2年)。
介護保険の資格喪失届の提出 
高額療養費の請求 
姻族関係終了届の提出離婚の場合と異なり、死別は配偶者との姻族との親族関係は当然に終了しません。このため、生存配偶者はいつでも届出をすることで姻族関係を終了することが出来ます。
 この手続きをしても、被相続人について配偶者としての相続権は勿論失いませんし、子がいる場合、子の代襲相続人としての地位にも影響はありません。
復氏届離婚の場合は法律上当然に復氏しますが、死別の場合は復氏しません。このため、生存配偶者はいつでも届出をすることで復氏することが出来ます。
家庭裁判所に対する子の氏の変更許可申立復氏した場合でも、子の氏は当然には変わりません。変更を希望する場合には、家庭裁判所に子の氏の変更許可の申立てをする必要があります。審判手続ではありますが、特段の事情が無い限り、認められます。
児童福祉手当認定請求一定の所得制限があります。
住民税の納税年度途中で死亡しても、その年の住民税は納税する必要があります。納税義務は相続人に承継されます。
固定資産税・都市計画税の納税相続人が連帯して納税義務を負います。
年金受給停止手続、未支給年金請求手続 
遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)請求手続 
運転免許証、パスポートの返却 
クレジットカード・携帯電話の解約・利用停止手続 
公共料金の停止手続 
生命保険金の請求死亡保険金は、受取人固有の権利のため、遺産分割の対象外です。受取人が一人で手続きを行うことが可能です。受取に必要な書類は、各保険会社によって異なる場合がありますので、事前に問い合わせをしましょう。
入院保険給付金の請求入院保険給付金は、生命保険金と異なり、被相続人が生前に請求することが出来る性質の保険金であるため、原則として相続人全員の署名・押印による請求書が必要です。入院証明書の提出が求められます。
団体信用生命保険の請求団体信用生命保険とは、通常、住宅ローンを借り入れる際に、加入を求められる保険です。住宅ローンの返済途中で、契約者が死亡・高度障害となった場合に、残りの住宅ローンの支払いを保険金で行うものです。
 手続きについては、住宅ローン金融機関によって異なります。
 金融機関に対する弁済が行われた場合、抵当権の抹消書類が金融機関から送付されます。
火災保険・自動車保険の解約・承継手続 
銀行口座の解約・承継手続遺産分割協議書が無い場合でも、銀行所定の書類に相続人全員が署名・押印して提出すれば手続は可能です。但し、金融機関によって取り扱いが異なりますので、各金融機関に事前確認をするようにしましょう。
株式等の有価証券の承継手続被相続人が、上場会社の株式や投資信託等の有価証券を保有していた場合、取引していた証券会社で手続きを行う必要があります。すぐに売却して換金したい場合でも、被相続人の口座のままでは売却することは出来ません。相続人名義の口座に移管する必要があります。
 相続人名義の口座を持っていない場合には、新たに口座開設をする必要があります。
 株券の電子化の際に、証券会社に預けなかった株式があったり、単元未満株が発生している場合、証券会社ではなく、株主名簿管理人である信託銀行の特別口座で管理されている場合があります。これらは郵便物等で明らかになることが多いです。この場合には、信託銀行に問い合わせをする必要があります。
自動車の名義変更使用者・所有者の変更登録を行います。ローンの支払い途中で、クレジット会社等が所有者になっている場合には、クレジット会社に連絡が必要です。
被相続人の所得税の申告準確定申告 4か月以内
相続税の申告・納付10か月以内)。 

【遺産分割手続チェックリスト】
 

遺言書の有無の確認自筆証書遺言がある場合、家庭裁判所で開封・検認手続。
 遺言執行者の選任
相続財産の把握借金の有無に注意。プラスの財産、マイナスの財産について遺産目録の作成
法定相続人の確定戸籍謄本等の取寄せ・相続人関係図の作成
遺産を引き継ぐかを決定相続放棄・限定承認等の手続 3か月以内
家庭裁判所に熟慮期間伸長の申立3か月以内にこれらの判断ができない場合
遺産分割協議協議が整ったら、遺産分割協議書を作成
 遺産分割協議不成立の場合、家庭裁判所に調停の申立 
 遺産の現実の分配・不動産等の名義変更
特別代理人の選任相続人の中に未成年者がいる場合で、例えば①父が死亡し、母と未成年者である子が遺産分割協議をする必要がある場合、②複数の未成年者の法定代理人として遺産分割協議をする必要がある場合、互いに利益相反の関係にありますので、家庭裁判所への特別代理人選任申立の手続きが必要になります。
 特別代理人には、叔父、叔母、祖父母がなることが多いようです。
 特別代理人は、当然ながら、未成年者のための代理行為を行わなければなりません。

相続とは

 相続とは、亡くなった人の財産上の地位(遺産)を、家族などの相続人が受け継ぐことをいいます。亡くなった人を「被相続人」、財産を受け継ぐ人を「相続人」といいます。
 被相続人から相続人に受け継がれる財産のことを「相続財産」といいます。
 相続は、被相続人の住所において開始します(民法883条)。被相続人の住所とは被相続人が死亡したときの住所をいいます、住所が知れないときは、居所が住所とみなされます。

相続の対象となる財産

 相続の対象となる財産には、不動産、現金、預貯金、株券などの積極財産(プラスの財産)だけではなく、銀行や消費者金融からの借り入れ、連帯保証債務などの消極財産(マイナスの財産)も含まれます。
そのため
、プラスの財産よりマイナスの財産が多いときでも、全ての債務を受け継ぐことになります。
 プラスの財産は要らないから、マイナスの財産を相続したくないという場合は、プラスの財産、マイナスの財産のどちらも一切受け継がない方法(相続放棄)を取ることもできます。 
 

不動産 

宅地、建物、農地、山林など

動産

現金、有価証券、自動車、家具、貴金属、美術品など

債権

預貯金、借地権、借家権、貸金、売掛金、退職金、被相続人が受取人となる生命保険金請求権など

知的財産権

特許権、著作権、商標権、意匠権など

債務

借入金、連帯保証債務、損害賠償債務、住宅ローン債務など

 お墓や仏壇、位牌は「祭祀財産」と呼ばれ、通常の相続財産とは区別され、承継者も相続財産とは別の方法で決まります。
 具体的には、「祖先の祭祀を主宰すべき者」への単独承継が規定されています。

 「祖先の祭祀を主宰すべき者」は、
  第1に、被相続人の指定があれば、 その指定、
  第2に、 指定がないときは慣習に従い、
  第3に、 慣習が不明なときは家庭裁判所、
により決まることになります。

 祭祀財産は、相続財産には含まれませんから、 相続分や遺留分を考慮するにあたって、その基礎財産に加える必要はありません。
 また、例えば、限定承認をした場合でも、 祭祀財産を換価して弁済に当てる必要はありません。

第896条[相続の一般的効力]
 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。但し、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
第897条[祭祀供用物の承継] 
① 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する。但し、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が、これを承継する。

② 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、前項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。

相続の際に最初に考えるべきこと

 家族が亡くなると、相続が始まります。

 まず最初に考えるべきことは、以下の3つの中のいずれを選択するかを決めることです。

 ①相続する。
 ②相続放棄する。
 ③限定承認をする。

 このうち、①の相続する、を選択するのが一般的です。相続を選んだ場合、他の相続人がいる場合は遺産分割協議を行うことになります。

 マイナスの財産(負債)の方が、プラスの財産(資産)より多い場合、②相続放棄を検討することになります。
 プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか不明な場合は、③限定承認をすることを検討します。
 限定承認は、プラスの財産の範囲でマイナスの財産を負担するという制度です。相続放棄は相続人それぞれが単独で行うことが出来ますが、限定承認は、相続人全員が共同でしなれければなりません。

 相続放棄又は限定承認をするためには、相続の開始があったことを知ったときから原則として3か月以内に、家庭裁判所に申立てをする必要があります。この3か月の期間を熟慮期間といます。
 一定の事情がある場合には、家庭裁判所に申し立てて、熟慮期間を延長してもらうことも可能です。
 これらの判断をするため、できるだけ早急に全財産をもれが無いように調べなければなりません。
 遺言が作成されていると、遺言中に相続財産が記載されていることが通常ですので、相続人による財産の把握は比較的容易です。遺産分割の話し合いも原則として不要ですので、名義書換などの手続も速やかに行うことが可能となります。

 しかし、遺言が無い場合は、まず被相続人の財産を探す必要があり、財産が確定しないと上記①~③を判断することができないのです。
 一切もめごとがなくても、相続が発生すると、残された家族は相続手続に多くの時間と労力を割かなければなりません。
 例えば、被相続人が亡くなったのち、自宅や社長室(社長をされていた場合など)の机、書棚、金庫、タンスなどから、現金、通帳、株券、生命保険の証券、権利証などを探します。

 郵便もチェックします。これらを手掛かりに銀行、保険会社、証券会社、社長をしていた会社の取引銀行などに、財産のもれが無いよう確認を行うことになります。

 問い合わせ先は数十か所に及ぶことも珍しくなく、昨今は金融機関の合併や支店の統廃合も多く、財産の調査は困難を極めることが多いのです。

 生前であれば、自分の財産については、どこに何があるか把握しているのが通常ですから、残された家族のためにも、遺言書の作成をお勧めしているのです。

1 配偶者
 配偶者は常に相続人になれます。他の相続人が一人もいないときは単独で相続しますが、他に相続人がいれば、共同相続することになります。

 ここにいう配偶者とは婚姻届を出している場合に限られます。内縁の配偶者や既に離婚している場合は相続人になれません。

2 配偶者以外の相続人
 配偶者以外の相続人には、相続順位があり、第2順位・第3順位の人は、上位の人がいない場合にのみ相続人になることができます。

 第1順位 子
 実子だけでなく、養子・胎児も「子」に含まれます。
 相続開始時(被相続人が亡くなったとき)に、子が既に亡くなっていたときは、被相続人の直系卑属(子の子(孫)など)が相続します(「代襲相続」といいます)。
 配偶者がいない場合は、子だけが相続人になります。子が第一順位ということは、子が一人でもいれば親や兄弟姉妹は相続人にはなれないということです。


 第2順位 直系尊属(父母・祖父母など)
 第1順位の相続人がいない場合に、相続人になります。
 実父母だけでなく、養父母も相続人に含まれます。
 まず親等の一番近い父母が相続人になり、父母がいないときは祖父母、祖父母がいないときは曾祖母・・・と遡っていくことになります。
 配偶者・子がいない場合は、父母だけが相続人になります。


 第3順位 兄弟姉妹
 第1順位・第2順位の相続人がいない場合に、相続人になります。
 相続開始時に、兄弟姉妹が亡くなっていたときは、その子が代襲相続します。ただし、子の代襲相続とちがって、兄弟姉妹の子(つまり、被相続人の甥・姪)までです

3 胎児について
 相続開始時に母親の胎内にいる胎児も相続権があります(民法886条1項)。但し、死産であった場合は相続人になりません。民法上は「既に生れたものとみなす」と規定されていますが、胎児が生きて生まれたときに、相続開始時にさかのぼって相続したと認めるという意味です。

4 婚姻外の子について
 愛人の子など、婚姻関係にない男女間の子(非嫡出子)でも父親が認知していれば親子関係があるので相続人となります(父親との親子関係は父親が認知して初めて生じますので認知された非嫡出子のみが相続人となります)。

 親が認知しないで死亡した場合は、その死亡後3年以内に子や法定代理人が認知請求の裁判(民法787条)を起こし、判決を得れば相続人となれます。

5 養子について
 養子は実子と全く同様に扱われます。実子と同様に育ててきた子でも、実子でなければ、養子縁組をしていない限り相続人にはなれません。従って、そのような子に相続させるためには、養子縁組をするか、その子に承継させる内容の遺言を遺しておかなければなりません。

 また、養子に行ったからといって実父母との親子関係がなくなりませんので、養子は実父母と養父母の両法から相続できることになります。


 なお、実子ではない子を生まれてすぐに戸籍上実子として届け出ることがあります(いわゆる「わらの上の養子)。このような届出は実子としての効力も養子縁組としての効力も認められません(最判昭和50年4月8日)。

<再婚した配偶者の連れ子について>

 民法では、配偶者の連れ子と継父・継母のような継親子関係には相続が認められていません。
 従って配偶者の一方が死亡した場合、他方の配偶者は相続権がありますが、その連れ子には相続権が認められません。もちろん、継親と連れ子が養子縁組をしていれば、連れ子も養子として相続できることになります。

相続人になれない人

 「法定相続人」であれば、どんなことをしても相続できるというわけではありません。 法定相続人が相続できなくなるケースは、大きく分けて2つあります。法律によって相続権をはく奪される「相続欠格」と、被相続人の意思で、相続人の地位を奪う「相続人の廃除」です。 

相続欠格

【相続欠格】
法定相続人が相続に関して不正な利益を得ようとして不正な行為をし、またはしようとした場合に、そのような法定相続人は、相続人の資格を失います(「相続人になることができない」(民法891条))。欠格者は同時に受遺者としての資格も失うので、遺贈を受けることもできません(民法965条)。但し、相続欠格者は代襲原因にあたるので、欠格者の直系卑属(兄弟姉妹の場合は、その子)は代襲相続することができます。

【民法が規定する相続欠格の原因(民法891条)】
①被相続人又は自分より先順位もしくは同順位の相続人を故意に殺し、または殺そうとしたために刑に処せられた者。
②被相続人が殺されたことを知りながら、告訴告発しなかった者。但し、犯人が自分の配偶者または直系血族であった場合は除く。
③詐欺又は強迫によって、被相続人が遺言をしたり、遺言の取消し・変更をするのを妨げた者。
④詐欺又は強迫によって、被相続人に遺言をさせ、または遺言の取消し・変更をさせた者。
⑤被相続人の遺言書を偽造したり、破り棄て、又は隠した者。

相続人の廃除

【相続人の廃除】
一定の理由があれば、一定の手続を経て被相続人が一方的に子から相続人の地位を奪ことができます。
 例えば、長男Aは、高校も途中で行かなくなり、ギャンブルばかりしており、家から財産を勝手に持ち出したり、親であるあなたに繰り返し暴力をふるったりしており、あなたは、そのようなAには遺産を相続させたくないとします。
 A
に相続させない方法としては、全財産を生前に別の相続人に贈与しておく方法、他の相続人に全財産を相続させる旨の遺言を作成しておく方法もあります。
 しかし、Aが遺留分減殺請求をしますと生前贈与、相続分の指定、遺贈などは一定の範囲で効力が否定されて遺留分相当の財産を取得することができますから、絶対に財産をやりたくないという場合には不十分といえます。
 一方、「相続人の廃除」は相続人の地位を絶対的に奪う制度ですから、Aは相続財産を取得することはできません。

【民法が規定する廃除ができる場合(民法892条)】
①子が被相続人に対して虐待したり、重大な侮辱をしたとき
 ②子に著しい非行があったとき

【廃除の手続】
廃除は、上記のとおり相続人の地位を一方的に奪う重大な効果を伴いますので、被相続人が勝手に決めることができず、家庭裁判所に相続人廃除の調停または審判の申し立てをして行います
 家庭裁判所は、親子の事情を十分に調査のうえ、相続人の地位を奪うのが適当と判断した場合、廃除が認められます。虐待や侮辱があったとしても、それだけで形式的に廃除が認められるわけではありません。
 なお、子を廃除する旨の遺言をしておくことも可能ですが、直ちに効力が生じることはなく、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の審判を申し立て、裁判所に認めてもらう必要があります。

遺留分の放棄

 遺留分は、相続放棄と異なり、遺言者の生前に放棄することも可能です。

 従って、相続人廃除のほか、遺留分の放棄と遺言を組み合わせることにより、財産を相続させない方法もあります。

  但し、遺留分を放棄するためには、遺留分を持つ相続人が、家庭裁判所に対し、遺留分を放棄する手続を行い、家庭裁判所の許可を得る必要があります。つまり、相続させない相続人の協力が必要になります。遺留分を持つ相続人が、親子間での何らかの事情により、「相続しなくてもよい」と言っているような場合に利用できることになります。

 申立ては、被相続人の住居地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
 遺留分の放棄が認められても、相続権が無くなる訳ではありませんので、遺言でその全財産を、遺留分放棄をした相続人以外の者に相続させたり、遺贈しておかなければなりません。

 なお、相続人の一人が遺留分の放棄をしたとしても、他の相続人の遺留分が増えるものではありません。相続放棄があった場合には、他の相続人の相続人が増える場合がありますが、遺留分の放棄は、遺言者が自由に処分できる割合が増えるにすぎません。

法定相続人の確定

 相続人になりうる者が分かったとして、当該ケースにおける具体的な法定相続人を確定する必要があります。

 通常、法定相続人は誰かについて、親族の間では自明のはずです。

 しかしながら、被相続人に隠し子がいて認知していたとか、大昔に養子に出された兄弟姉妹がいた、などということも現実にありえない話ではないので、戸籍謄本を取り寄せて、法定相続人が誰なのかを確定させる必要があります。

 法定相続人を確定させずに遺産分割協議を進めていても、途中で法定相続人が見つかった場合には、協議を最初からやり直さなければならなくなるからです。

 具体的には、被相続人(故人)が、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等(除籍謄本・改製原戸籍)を市区町村役場で取得します。

 被相続人の戸籍を取得したら、子供の数や名前、認知した子供、養子の有無などを調べ、もしも子供がいない場合は、父母(祖父母)、兄弟(姉妹)の戸籍を調べていかなければなりません。

 実際には、何人も子供がいたり、その子供が亡くなっていたりと、この戸籍の調査は思っている以上に大変で、時間もかかりますので、困難となった場合には専門家に相談されることをおすすめします。

法定相続分

 相続人の相続分は、民法に定められています。これを「法定相続分」といいます。

 【法定相続分】

① 配偶者と子供が相続人である場合
  配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2

② 配偶者と直系尊属が相続人である場合
  配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3

③ 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
  配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

 子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ複数いるときは、原則として均等に分けます。

(ご質問) 

身寄りが誰もいない方のお世話をしてきたのですが、その方がお亡くなりになった場合、その方の財産はどうすればよいでしょうか。財産が欲しいというわけではありませんが、処理に困ってしまいますので、私が勝手に頂いてもよろしいのでしょうか。

(回答)

勝手に貰ってはいけません。遺言書もなく、相続人がいるかどうかも明らかでない場合(いないことが明らかな場合も含む)、亡くなった方の相続財産を管理し、清算してくれる相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求することになります。


(参考:相続財産管理人について)

人が死亡し、亡くなった方に法定相続人がいるのかどうかはっきりせず、相続財産が存在するときに、利害関係人又は検察官の請求によって相続財産管理人の選任を家庭裁判所が行います。

相続財産管理人は、相続人若しくは相続人の債権者などを探し出すまでの間、相続財産を管理します。
家庭裁判所は申立てを受け、相続財産管理人が選任されたことを公告し、相続人が名乗り出るよう促します(相続財産管理人選任の公告)。

2か月以内に相続人がいることが明らかにならなかった場合、相続財産管理人は、亡くなった方の債権者や受遺者に対して請求の申出をするよう公告又は通知をします(相続債権者・受遺者への請求申出の公告)。

債権者や受遺者は公告から2か月以上の期間内に請求の申出をしなければなりません。

そして、債権者や受遺者への公告期間経過後、さらに相続人のあることが明らかでない場合、相続財産管理人や検察官の請求により、家庭裁判所は、さらに6か月以上の期間を定めて相続人の権利を主張するべき旨を公告しなければなりません(相続人捜索の公告)。

この6か月以上の期間を過ぎても相続人である権利を主張する者がいないときは、相続人、債権者などはそれぞれの権利を行使できなくなります。

その後、相続財産がまだ残っていた場合は、家庭裁判所の審判により、特別縁故者(被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者等)にその相続財産の一部若しくは全部を与えるか、国庫に帰属します。

相続人ではないけれど、被相続人の面倒をみてきた、という方が、財産の請求をする場合、特別縁故者に対する相続財産分与の手続きをする必要があります。それにはまず相続財産管理人の選任の手続きをする必要があります。

 申立権者は、利害関係人又は検察官とされています(民952条1項)。

 利害関係人とは、相続財産に対し、法律上の利害関係を有する者、例えば、亡くなった方に対し債権を有していた方(例えばお金を貸していた方)、特定遺贈の受遺者、特別縁故者として財産の分与を求めようとする方、相続財産に対する担保権者、事務管理者(相続財産の保管者)等が挙げられます。

 相続財産管理人選任の申立先は、相続開始地の家庭裁判所です。

 申立手数料は、800円です。収入印紙を申立書に貼付します。

 関係先に対する調査・照会等のため、郵券(切手)の予納が必要です。具体的な額及び郵券の組み合わせは裁判所によって異なりますので、申立てをする裁判所に確認するようにしましょう。

 相続財産管理人選任の官報公告料等、必要な費用について、申立人が予納しなければならない場合があります。具体的な額、時期、方法等は、事案や裁判所によって異なりますので、申立てをする裁判所に確認するようにしましょう。

 相続財産管理人候補者がいる場合、候補者の推薦をすることができますが、家庭裁判所はこれに拘束されることはありません。相続財産管理人を選任するとして、誰を選任するかは家庭裁判所の裁量事項とされています。
 最近では、推薦した候補者が選任されない傾向が広まっていると言われています。

 相続財産管理人選任の申立書作成及び必要書類(被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、関係者の戸籍謄本、消除された住民票等)の収集、相続関係図の作成、遺産目録の調製等は、一般の方が行うのはかなりの時間と労力がかかりますので、申立書の作成を専門家に依頼するのも一つの方法です。

 当事務所は、申立代理及び相続財産管理人業務を数多く経験しております。遠慮なくご相談下さい。
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遺産の調査(預金取引経過の開示)

 遺産の調査をするにあたり、被相続人(亡くなった方)の預金の取引経過の開示を求めたい場合があります。

 これまでは、相続人全員の同意が無い限り、開示を拒否する金融機関も多かったのですが、平成21年の最高裁は、預金者が死亡した場合、金融機関は預金契約に基づき、共同相続人のうちの1人の請求であっても、その請求が権利の濫用に当たらない限り、取引の経過を開示すべきであるとする画期的な判決を出しました。

 これにより、現在は、各金融機関は被相続人の預金の取引経過の開示を求められた場合、開示に応じるのが一般的となっています。

 貸金庫は、銀行の金庫室の一定区画を目的とする賃貸借契約です。

 被相続人が死亡し、相続が開始した場合、被相続人の貸金庫の借主の地位は、相続人の共有となります。

 被相続人が貸金庫契約を有していたことが判明した場合、相続人らは、遺産の内容を確認するため、貸金庫の内容を確認する必要が生じますが、銀行は、被相続人の除籍謄本、相続人全員が署名・捺印した開扉依頼書、全員の印鑑証明書の提出を求めてきます。

 一部の相続人の請求により開扉したことによるトラブルを避けるためです。

 全員の同意が得られれば簡単に開扉が可能ですが、全員の同意が得られない場合には、容易には開扉に応じてもらえないことになります。

 そのような場合には、銀行に開扉の必要性を説明し、中身を持ち出さないことを約束し、行員や公証人の立会いを条件とするなどして開扉の交渉をしてみましょう。

 公証人に依頼すると、貸金庫の開扉に立会い、その場の状況、中身の明細など、開扉の際に確認した事実を記録した公正証書を作成してもらうことが可能です。このような公正証書を事実実験公正証書といい、将来の紛争防止に役立ちます。

相続分のないことの証明書

 相続人の中で、既に被相続人の生前、相続分の価額を超える贈与を受けていたというような場合、その相続人は、原則として遺産についての権利がありません。

 その相続人が相続分以上の贈与等を受けていることを証明する「相続分のないことの証明書」印鑑証明書を提出すると、他の相続人に不動産の相続登記をすることが可能となります。

 相続人が複数いる場合、相続財産である不動産を相続人の1人に単独相続させるためには遺産分割協議書が必要ですが、遺産分割協議書を作成しないで相続登記を行う際に、この証明書が利用されます。

 実際に生前贈与を受けていなくとも、この証明書により、相続人の1人への相続登記は可能になりますので、実際に贈与を受けていないにも関わらず、他の相続人に求められるがままに作成すると、後にトラブルの元になります。よく考えてから作成することをお勧めします。

 なお、この書類は、民法上の相続放棄とは関係がありません。相続を放棄するには、相続があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続放棄の手続をする必要がありますので注意が必要です。

遺産分割後の手続

 遺産分割が終了したら、各相続人は取得した財産について所有権移転登記をしたり、預貯金の名義変更をする必要があります。

 また、相続税の申告義務がある方については、相続開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に納税地の税務署長に申告書を提出しなければなりません。

相続税の申告

亡くなった人(被相続人)の財産を相続や遺贈により取得した場合、相続税を納税しなければならない場合があります。
具体的な相続税の額は、以下の計算方法によって求められます。

  1. 全ての遺産の相続税評価額を算出する。
  2. 基礎控除額(3000万円+600万円×相続人の数)を差し引く。
  3. 基礎控除後の金額を法定相続分で分配したと仮定して各相続人の相続税額を算出する。
  4. これを合算したものが相続税の総額となる。
  5. 相続税総額を、各相続人の現実の取得割合で按分した金額が、各自の相続税額となる。

 上記の計算により、納税義務のある人は、所轄税務署長に対し、相続税の申告書を提出しなければなりません。納付税額のない人も、それが配偶者の税額軽減の特例(配偶者の取得する財産の課税価格が、法定相続分に満たない場合または1億6000万円以下の場合は、その相続税をゼロとする特例)による場合は、相続税の申告書を提出しなければなりません。

 相続税制は、しばしば改正が行われますので、税理士に相談するなど、最新の情報を確認するようにしてください。

遺産分割が相続税の申告期限に間に合わない場合

 上述のとおり、相続税の申告義務がある方については、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。
 しかし、
相続税の申告は、各相続人が相続する遺産の内容が確定していることが前提ですので、遺産分割協議が完了していなければなりません。

しかし、実際には、遺産分割協議の開始が遅れたり、協議が調わないなどの理由で、申告期限に間に合わない場合も当然ありえます。この場合、相続税の申告はどうすればよいでしょうか?

相続税法は、各相続人が法定相続分の割合で共有取得したものとして各自の相続税額を算出することとしています。
したがって、遺産分割未了の場合であっても、法定相続分を取得したことを前提に相続税を算出し、申告書を提出しなければなりません。
その後、遺産分割協議が成立した場合には、現実に取得した遺産の内容に応じ、相続税を計算し直します。
 申告額に不足がある場合には修正申告を行い、反対に過大であった場合には更正の請求をすることができます。

 なお、①配偶者の税額軽減の特例と②小規模宅地等の課税価格の特例は、相続税額を大幅に軽減する措置ですが、これらの特例の適用を受けるためには、相続税の申告書の提出期限までに、①配偶者が遺産分割や特定遺贈によって当該遺産を取得したこと、②当該小規模宅地が分割されていることが必要となります。

 したがって、提出期限までに分割されていなければ、上記特例の適用を原則として受けることが出来ません。遺産分割が未了の場合であっても、申告期限までに前述した計算方法によって申告書を提出し、それに応じた相続税を納めなければなりません。

 その後、その申告期限から3年以内に遺産分割がなされた場合には、これらの特例の適用を受けることができるとされています。

 また、遺産分割調停が継続しているなどのやむを得ない事情がある場合には、上記の3年の期間が経過する前に所轄の税務署長の承認を受けることにより、調停成立などの翌日から4ヶ月以内であれば、同様に特例の適用を受けることが可能となります。

 いずれにしても、相続税の申告期限が過ぎてしまう前に、税理士とよく相談しておくことが必要です。

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