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離婚を決意したら最初にやるべき準備とは

 —— 切り出す前の「準備」が、その後の結果を大きく左右します。

 離婚を考えたとき、子ども・お金・今後の生活・相手の反応など、次々と不安が浮かぶのは自然なことです。

 しかし、気持ちの整理がつかないまま話し合いを始めてしまい、あとから取り返しのつかない不利益を被ってしまうケースは少なくありません。

 離婚は、いったん動き出してしまうと修正が難しい場面が多く、実は「話し合いの前の準備」が最も重要です。

 このページでは、離婚を検討する段階で最低限整理しておくべき実務的なポイントを弁護士の視点でまとめています。

1 まず考えるべき「離婚後の生活設計」

2 いつ・どう別居するかの現実的判断

3 子どもに関する判断

4 お金の問題を整理する

5 離婚理由と専門家への相談

自身と子の生活設計(離婚後)

 離婚後の生活は、「やっていけるか」ではなく、どこで・いくらで・どのように暮らすのかを具体的に描くことが重要です。

  • 離婚後の住居(実家の支援を受けるか/賃貸へ移るか)
  • 収入の見通し(就労・復職・転職の可能性と時期)
  • 支出の見通し(とくに住居費・教育費・生活費)
  • 社会保険・健康保険の取り扱い
  • 子どもの学校・学区を継続できるか(転校の要否)
  • ​保育園・学童保育の利用可否と申込み時期

 離婚を決断する前に、「生活できるか」という不安を、「こう生活する」という現実的な計画に落とし込むことが、その後の話し合いや条件交渉を冷静に進める土台になります。

いつ別居するか・別居までのスケジュール

 別居は時期・準備・伝え方を含めた「一連の流れ」として設計することが重要です。

  • 別居のタイミング(心身の安全・収入・子どもの状況を踏まえた判断)
  • 転居先の検討(実家/賃貸/一時的な避難先など)
  • 引っ越し方法の選択(業者を利用するか、最低限の荷物で移動するか)
  • 子どもの学校・園との調整(転校・転園の要否や時期)
  • 別居時に持ち出す物の整理(生活必需品・貴重品・書類類。※状況によっては、弁護士介入後に動産を整理・搬出することも可能です)
  • 別居の伝え方(事前に伝えるか、心身の安全を優先して黙って出るか)

 どの方法が「正解」ということはありません。
 その方の置かれている状況や相手の性格、過去の経緯によって、取るべき対応は変わります。
 
大切なのは、自分と子どもの安全と、その後の生活・手続を見据えた選択をすることです。

黙って別居する選択が必要になるケース

 別居にあたっては、事前に相手へ伝えるのが原則と思われがちです。
 しかし、状況によっては「黙って出る」ことが、最も現実的で安全な選択となる場合があります。
 
典型的には、次のようなケースです。

  • 別居の意思を伝えると、強い引き止めや感情的な対立が予想される場合
  • 過去に暴言・威圧的な言動・精神的支配があり、冷静な話し合いが期待できない場合
  • 別居をほのめかしただけで、態度が豹変したり、行動を制限された経験がある場合
  • 子どもを連れて出ることに強く反発し、連れ去りや強行的な対応が心配される場合
  • 話し合いの結果として、別居そのものが阻止される可能性が高い場合

 このような状況では、「きちんと説明してから出る」ことが、かえって危険や混乱を招くことも少なくありません。

 黙って別居することに対して、「本当に大丈夫か」と不安を感じる方も多いのですが、法的には、別居の方法そのものに善悪がつくわけではありませんし、その後の交渉で一方的に不利に働くことも通常はありません。

 重要なのは、無用な衝突を避け、自分と子どもの安全と平穏な生活を確保することです。

 なお、黙って別居する場合でも、
・身の危険を感じているケースで無ければ行方を完全にくらます必要はありません
・別居後、弁護士を通じて連絡窓口を一本化することで、不要な接触を避けることが可能です

 別居の形について迷いがある場合には、「黙って出る」という選択が適切かどうかも含めて、事前に弁護士へ相談し、客観的な視点で整理することをお勧めします。

黙って別居した場合の、その後の連絡・対応の考え方

 黙って別居した直後は、相手からの連絡が集中しやすい時期です。
 電話、LINE、メール、職場や実家への連絡、押しかけといった形で、強い反応が出ることも少なくありません。

 まず大切なのは、冷静になることです。

 別居した以上、夫婦関係はすでに「同居を前提としない段階」に入っています。
説得や謝罪、非難にいちいち応じる必要はありません。

基本的なスタンス
  • 繰り返しの電話やメッセージには原則対応しない
  • 返信する場合でも、最低限の事実連絡にとどめる
  • 言い訳や説明を重ねない

 「なぜ出ていったのか」「いつ戻るのか」といった問いに対し、詳細な説明をする必要はありません。

弁護士を介入させるタイミング

 黙って別居した後の対応として、もっとも有効なのが弁護士を窓口にすることです。
 弁護士に依頼し、受任通知を送付すれば、

  • 今後の連絡はすべて弁護士宛てとする
  • 本人への直接連絡を控えるよう求める

という対応が可能になります。

 これだけで、精神的な負担が大きく軽減される方は非常に多いです。

 特に、

  • モラハラ傾向がある
  • 自分で対応するのは難しい

といった場合には、早期の弁護士介入が望ましいといえます。

連絡を完全に断つ必要はあるか

 別居後も、婚姻関係が続いている以上、すべての連絡を遮断しなければならないわけではありません。
 ただし、

  • 子どもに関する事務的な連絡
  • 婚姻費用や生活費に関する調整
  • 調停・手続に関する連絡

など、目的が明確なものに限定することが重要です。

 感情的なやり取りや、過去の出来事を蒸し返すような連絡に応じる必要はありません。

押しかけ・つきまといへの対応

 自宅や実家に押しかけてくる、居場所を探し回るといった行為がある場合には、

  • ドアを開けない
  • その場で話し合わない
  • 状況によっては警察への相談もためらわない

という対応が必要です。

 こうした事実は、後の調停や裁判において、別居の合理性や相手方の問題性を示す事情として、自身に有利になることもあります。

罪悪感を持つ必要はありません

 黙って別居した後、「冷酷だったのではないか」「説明しないのは間違いだったのではないか」と悩まれる方は少なくありません。

 しかし、別居は人生の再スタートの第一歩であり、自分と子どもの生活を守るための手段です。

 無理に対話を重ねようとして心身をすり減らすよりも、距離を確保したうえで、冷静に今後を考えることの方が互いにとって大切な場合も多いのです。

 別居後の対応に迷いがあるときは、どこまで連絡に応じるべきか、どの時点で弁護士を介入させるべきかについて、早めに専門家へ相談することをお勧めします。

親権・監護権をどう考えるか

 別居や離婚を考える際、避けて通れないのが親権・監護権をどうするのかという問題です。
 感情論ではなく、後の調停・裁判を見据えて整理しておくことが重要になります。

親権を目指すのか、まず方針を決める

 最初に考えるべきなのは、自分が親権者となることを目指すのかどうかです。

 親権を巡る争いは、精神的・時間的な負担が大きくなることが多いため、「必ず親権を取得したいのか」「現実的な着地点として監護権の確保を重視するのか」を整理しておく必要があります。

親権者・主たる監護者は誰が適切か

 実務では、親権の判断において「どちらが主として子を監護してきたか」が非常に重視されます。

 そのため、

  • 現在、誰が子どもと同居しているか
  • 日常生活の中心的な世話を誰が担っているか

という点を客観的に見直しておきましょう。

現在の監護実態を具体的に書き出す

 漠然と「自分が育ててきた」では足りません。
 以下のような点を具体的な事実として整理することが重要です。

  • 保育園・学校の送り迎えは誰がしているか
  • 食事の準備や生活リズムの管理を担っているのは誰か
  • 通院や予防接種、病気の対応をしているのは誰か
  • 習い事・学校行事への対応は誰が行っているか
  • 連絡帳や学校・園とのやり取りを誰がしているか

 これらは、後に調停委員や裁判所に説明する際の重要な判断材料になります。

相手が「親権を取る」と言い出した場合への備え

 別居や離婚を切り出した途端、それまで子育てに関与していなかった相手が「親権を取る」と言い出すことは珍しくありません。

 その場合に備え、

  • なぜ自分が主たる監護者として適切なのか
  • 子どもの生活の継続性を守れるのはどちらか
  • 今後も安定した監護ができる生活環境があるか

といった点を、冷静に説明できる準備をしておくことが重要です。

 「これまで」「現在」「これから」の三点で整理しておくと、主張がぶれにくくなります。

連れ去りと評価されないための実務的注意点

 別居にあたって子を伴う場合、最大のリスクの一つが「子の連れ去り」「違法な奪取」と評価されてしまうことです。

 一度この評価が付くと、その後の監護者指定・親権争いで極めて不利になります。

① 現在の監護実態から「不連続」を作らない

 裁判所が最も重視するのは、別居前後で子の生活がどれだけ連続しているかです。

以下のような別居は、問題視されやすくなります。

  • 普段ほとんど監護していなかった側が、突然子を連れて出る
  • 送り迎え・食事・通院を担っていなかった親が主導する別居
  • 別居直前まで相手が主たる監護者だったと評価できる状況

 逆に、

  • もともと日常監護を担っていた
  • 別居後も生活リズム・学校・園が継続している

という場合は、連れ去りと評価されにくい傾向にあります。

 別居前に「誰が何をしていたか」を整理しておくことが極めて重要です。

② 子の意思を過度に強調しない

 「子が一緒に来たいと言った」という説明は、万能ではありません

 特に、

  • 年齢が低い場合
  • 別居直前に急に意思確認をしている場合
  • 相手が「誘導された」と主張しやすい状況

では、裁判所は慎重に見ます。

 実務では、

  • 子の意思だけで正当化しようとする
  • 子の発言を強調しすぎる

こと自体がマイナス評価になることもあります。主軸はあくまで監護実態・生活の継続性です。

③ 相手の同意・了解の有無は「態様」で判断される

 明確な同意書がなくても、

  • 別居の事前説明がなされていた
  • 子を連れて出ることを相手が黙認していた
  • 強い反対や制止がなかった

といった事情があれば、「違法な奪取」とまでは評価されにくくなります。

一方で、

  • 相手が明確に反対していた
  • 置いていくよう求められていた
  • 連絡を遮断して急に姿を消した

場合は、連れ去りと評価されるリスクが高くなります。

④ 連絡遮断は“理由”がなければ不利になりやすい

 別居後、相手との連絡を完全に断つと、

  • 子を会わせる意思がない
  • 一方的に支配している

と評価されやすくなります。

 ただし、

  • DV・モラハラがある
  • 押しかけ・執拗な連絡が予想される
  • 安全配慮が必要

といった合理的な理由があれば別です。

 その場合でも、

  • 弁護士を窓口にする
  • 必要最低限の連絡手段は残す

といった形を取る方が、実務上は安全です。

⑤ 別居直後の行動が「決定的」になる

 連れ去りか否かは、別居後の対応で決定的に評価が固まることが多いです。

 特に重要なのが、

  • 相手からの「会わせてほしい」要求への対応
  • 面会交流についての姿勢
  • 調停申立て前後の言動

 感情的に拒絶すると、「不当な監護」「子の利益軽視」と見られる可能性があります。

 拒否する場合も、理由を明確に整理しておくことが重要です。

⑥ 事前に弁護士が関与しているかは大きな分かれ目

 実務上、

  • 調停手続で適切な対応を取っている弁護士の助言を受けて別居している
  • 別居後すぐに受任通知を出している

場合、連れ去りと評価されにくい傾向があります。

 これは、

  • 衝動的行動ではない
  • 法的な対応を前提にしている

と裁判所が受け取りやすいためです。

子どもには「いつ」「どのように」話すのか

 離婚を考える過程で、最も大きな影響を受けるのは子どもです。
 夫婦にとっての離婚は選択であっても、子どもにとっては避けられない環境の変化であり、強い不安や動揺を伴います。

 そのため、子どもに話すタイミングは、
・別居や生活の見通しがある程度立った段階
・親自身の感情が落ち着き、説明にブレが出ない状態
を一つの目安とするのが実務上は望ましいといえます。

 感情が整理できていない段階で話してしまうと、「どうなるのか分からない不安」だけを子どもに与えてしまうことになりかねません。

子どもを夫婦の紛争に巻き込まない

 離婚の原因や相手の問題点を、子どもに共有すべきではありません
 子どもは、どちらの親にも気持ちを向けながら生活しています。

 親の対立構造をそのまま伝えてしまうと、
・どちらかを選ばされているように感じる
・親を守ろうとして感情を抑え込む
といった心理的負担が生じやすくなります。

 話す内容は、あくまで「大人同士の判断であり、子どもの責任ではないこと」「これからも変わらず愛していること」に絞ることが重要です。

相手の悪口は決して言わない

 離婚に至る経緯には、納得のいかない点や怒りが残ることも少なくありません。
 しかし、相手の悪口を子どもに伝えることは、長期的に見て子どもを傷つけます。

 子どもにとって、相手親は「大切な親の一人」であることに変わりはありません。
 相手を否定されることは、自分自身を否定されるように感じてしまう場合もあります。

 調停や裁判で有利に進める観点からも、子どもを精神的に安定した状態で保つことは極めて重要です。

年齢別(未就学/小学生/中高生)での伝え方例

未就学児(おおむね3〜6歳)への伝え方

【基本姿勢】

 未就学児は、
「離婚という「概念」を理解できない」
「変化=自分のせいではないかと感じやすい」という特徴があります。
 事実よりも「安心感の提供」が最優先です。

【伝えるべきポイント】

  • これから誰と暮らすのか
  • 毎日の生活(保育園・幼稚園・寝る場所)がどうなるのか
  • ​親からの愛情は変わらないこと

【使う言葉の例】

  • 「パパとママは別々に暮らすことになったけど、○○のことが大切なのは、ずっと変わらないよ。」
  • 「これからも、毎日ちゃんと会える人がいるし、困ったときはすぐ助けるからね。」

 「どうして?」と聞かれても、無理に真実を答える必要はありません。

【注意点】

  • 相手親の名前を出して責めない
  • 泣き止ませるために安易な約束をしない(「ずっと一緒」など)
小学生への伝え方

【基本姿勢】

 小学生は、

  • 状況をある程度理解できる
  • しかし感情処理が追いつかない

という時期です。「説明」と「感情のケア」の両立が重要になります。

【伝えるべきポイント】

  • 大人同士の問題であること
  • 子どもの責任ではないこと
  • 生活がどう変わるのか(学校・住居・面会)

【使う言葉の例】
「パパとママでたくさん話したけど、一緒に暮らすのが難しくなったんだ。」
「○○のせいではないし、○○が何かを我慢する必要もないよ。」

【対応のポイント】

  • 質問には答えるが、必要以上に踏み込まない
  • 感情が揺れ戻ることを前提に、何度でも同じ説明をする
  • 学校行事・習い事など「変わらない部分」を強調する

【注意点】

  • 「相手が悪い」「我慢してきた」などの評価を混ぜない
  • ​親権や裁判の話をしない
中学生・高校生への伝え方

【基本姿勢】

 中高生は、

  • 状況理解はできる
  • しかし自分の価値観で親を評価するという段階にあります。

 過度に隠さず、しかし感情的にならない説明が求められます。

【伝えるべきポイント】

  • 離婚は親の責任であること
  • 子どもに選択を迫らないこと
  • ​今後の生活や進学に影響が出ない配慮をしていること

【使う言葉の例】

  • 「今のまま夫婦を続けることが、お互いにとっても、家族にとっても良くないと判断した。」
  • 「あなたに立場を選ばせるつもりはないし、将来に影響が出ないよう、大人として責任を持つ。」

【対応のポイント】

  • 意見や反発が出ることを想定する
  • すぐに理解されなくても距離を置く
  • ​感情的に議論しない(説得しようとしない)

【注意点】

  • 法的争点(親権・慰謝料・DV主張等)を持ち込まない
  • ​「もう大人だから分かるでしょ」という突き放し方をしない
共通して重要な3点(年齢を問わず)
  • 子どもに結論を委ねない
  • 相手親を否定しない
  • 一貫した説明をする

 あくまでも上記は一例にすぎず、子どもの性格やこれまでの関わり方によって、大きく伝え方も変わってくるのが当然です。
 離婚の伝え方は、その後の親権・監護・面会交流の評価にも静かに影響しますが、そんなような自分のことよりも、子どもの気持ちを想像し、寄り添う気持ちが大切です。

養育費の相場の確認と希望額の把握

 離婚協議や調停で養育費の話し合いをするとき、まずは事前に「相場」を把握しておくことが重要です。

 家庭裁判所が実務で基準として用いるのは、いわゆる 最高裁作成の「養育費算定表」 です。
 この算定表を使って、

  1. 相手の年収
  2. ご自身の年収
  3. 子どもの人数・年齢

 を当てはめてみることで、最低限の目安となる金額が分かります。

 算定表は、離婚後の生活水準や年収の違いを一定のルールで計算するため、客観的な基準として、調停でも裁判でも重視されています。
 
 算定表の活用例

  • まずは「相手方の年収」を確認する
  • ご自身の年収と合わせて算定表にあてはめる
  • 表示された金額を「最低限の相場」として把握する
  • 実際の希望額は、個別の事情を加味して調整する
学費・塾・私立進学など「特別費用」の整理

 養育費の金額は、算定表の数字だけで決まるわけではありません。
 子どもにかかる現実的な費用についても、事前に整理しておく必要があります。

 典型的な特別費用としては、次のようなものがあります。

  • 学費・授業料(公立・私立の違い)
  • 習い事・塾・進学準備の費用
  • 塾の夏期講習や模試代などの追加費
  • 私立大学進学に伴う教育費の見込み
  • 通学の交通費・寄付金・教材費
  • 歯科矯正・医療・通院費用
  • 留学・海外研修の可能性がある場合の費用

 これらの費用は、当然に加味して評価されるわけではありません。金額の多寡、必要性、非監護親の事前同意の有無(黙示的なものも含む)等を確認し、通常は算定表の範囲内で調整されます。
 しかし、上乗せの根拠としてこれらの確認はしておく必要があります。

面会交流に対する考え方

 面会交流については、「会わせたくない」「会わせるべきだ」といった感情面から考えてしまいがちですが、
 実務上は、常に「子の利益」を最優先にして検討されます。

 面会交流は、監護親・非監護親の感情・勝ち負けではなく、子どもが健全に成長していくために、どのような関わり方が望ましいかという視点から判断されるべきものです。

面会交流を認めるかどうか

 原則として、明確な支障事情がない限り、面会交流は認められるのが現在の実務です。
ただし、以下のような事情がある場合には、制限・方法の調整が検討されます。

  • 子や監護親への暴言・威圧的な言動がある
  • 子が強い不安や拒否感を示している
  • 過去に連れ去りのおそれがある言動が見られる
  • 子の生活リズムや学校生活に支障が生じるおそれがある

 重要なのは、「会わせたくない気持ち」ではなく、なぜ子の利益に反するのかを、客観的に説明できるかです。

頻度・内容の考え方

 面会交流の頻度については、事案にもよりますが、月1回~2回程度が実務上の一つの目安とされています。
 併せて検討すべきポイントとして、

  • 宿泊を伴う面会を認めるか
  • 子の年齢・生活環境に照らして無理がないか
  • 長時間の拘束にならないか

といった点があります。

 特に、別居・離婚直後や、子がまだ幼い場合には、まずは日中・短時間から段階的に実施する形が採られることも少なくありません。

時間・場所・方法の検討

 面会交流を円滑に行うためには、具体的な方法の取り決めが非常に重要です。

  • 時間帯(何時から何時まで)
  • 場所(自宅外・公共施設・指定場所など)
  • 受け渡し方法(直接か第三者立会いか)
  • 連絡手段(連絡頻度・連絡方法)

 DV・モラハラ事案や対立が強いケースでは、第三者立会いの下での受け渡しや、立会施設の利用が検討されることもあります。

子どもの意思の位置づけ

 子が面会交流についてどのように感じているかは、実務上も非常に重要な要素です。

 もっとも、「子が嫌がっている」「会いたくないと言っている」という主張が、そのまま通るとは限りません。

子は、

  • 監護親に気を遣っている
  • 両親の対立に巻き込まれることを恐れている

といった理由で、本心を表現できないことも多いためです。
 裁判所は、子の意思を確認しつつ、子の年齢・発達段階・生活状況を踏まえながら、本当に子の利益にかなうかどうかを慎重に判断します。

感情ではなく「子の利益」で整理する

 面会交流の話し合いでは、感情的な対立が表に出るほど、解決が難しくなりがちです。
 難しいかもしれませんが、相手に対する悪感情はいったん横におき、

・何が子にとって負担か
・どのような方法なら安全か
・どのような条件なら実施可能か

 こうした点を具体的・客観的に整理しておくことが、離婚協議・調停を円滑に進めるための重要な準備になります。

財産分与の対象となる財産の確認

 離婚時の財産分与では、婚姻中に夫婦が協力して形成した財産が分与の対象となります。
 名義がどちらであるかは原則として決定的ではなく、自分名義・相手名義の双方を漏れなく確認することが重要です。

預貯金関係
  • 普通預金・定期預金
  • ネット銀行口座(見落とされやすいため要注意)
  • 社内預金
  • ​財形貯蓄

 通帳や取引履歴を確認し、「婚姻前からの残高」と「婚姻期間中に増えた部分」を切り分ける視点が必要になります。

保険関係
  • 生命保険・養老保険
  • ​学資保険

 分与の対象となるのは、解約返戻金のある保険です。名義・受取人ではなく、積立部分がいくらあるかがポイントになります。

不動産
  • 持ち家・投資用不動産
  • ​土地・建物

 登記名義にかかわらず、購入時期・資金の出どころ(住宅ローン返済含む)を整理します。

 住宅ローン残高との関係で、「プラス財産かマイナス財産か」の判断も必要です。

動産(高額なもの)
  • バイク
  • 高価な家財(美術品・貴金属など)

​ 市場価値があるかどうかを基準に、対象となるかを検討します。

金融資産
  • 株式
  • 投資信託
  • ​NISA・iDeCo等の運用資産
  • 暗号資産(ビットコインなど)

 評価基準日は原則として別居時または離婚時となるため、価格変動がある場合は評価時点を意識することが重要です。

退職金
  • 既に支給済みの退職金
  • ​将来支給見込みの退職金見込額

 婚姻期間に対応する部分を財産分与の対象とすることが一般的です。

名義に惑わされないことが重要

 財産分与では、名義に関わらず、原則として夫婦で形成したかどうかが判断基準になります。
 財産の全体像を把握できているかどうかで、その後の交渉・調停・訴訟の進め方は大きく変わります。
 早い段階で弁護士と一緒に棚卸しをすることが、結果的に有利かつ納得のいく解決につながります。

配偶者の財産・収入資料の確保

 離婚や別居を検討する段階では、配偶者の収入や資産状況を客観的に把握できる資料を確保しておくことが極めて重要です。
 後になってから開示を求めても、任意に提出してもらえないケースは少なくありません。

 特に、養育費・婚姻費用・財産分与といった金銭に関する条件を検討するうえで、基礎となる収入資料・財務資料がないと、適正な請求も反論もできなくなります。

必ず押さえておきたい収入関係資料

 以下の資料は、可能な範囲で事前にコピーや写真で確保しておくことが望ましいものです。

  1. 給与明細書(直近数か月分)
  2. 源泉徴収票
  3. 確定申告書(個人事業主・会社役員の場合は特に重要)

 これらは、婚姻費用、養育費、財産分与の判断などの算定や交渉の前提資料として使用されます。

預貯金・資産状況に関する資料

 財産分与を見据える場合には、収入だけでなく資産の把握も欠かせません。

  1. 配偶者名義の銀行口座の通帳コピー(入出金の履歴を含む)
  2. ネット銀行の取引履歴
  3. 定期預金・証券会社の口座の有無
  4. 保険契約
  5. 住宅ローンに関する資料

 手元に手がかりがないと、相手に隠された場合に立証は困難になります。

勤務先情報も手がかり

 次のような情報も、実務上は意味を持つことがあります。

  • 会社名・所在地
  • 役職・勤続年数
  • 賞与の有無・支給時期・支給実績
「証拠を揃える」ことが交渉力につながる

 これらの資料は、必ずしもすべてを完璧に揃える必要はありません。
 しかし、一部でも客観資料があるかないかで、その後の交渉や手続の進めやすさは大きく変わります。
 
状況によっては、弁護士が調停・審判手続の中で資料の提出を求めたり、裁判所を通じた照会手続などを行うこともできる場合があります。
 「今のうちに何を押さえておくべきか分からない」という段階であっても、一度専門家に相談し、必要な資料と集め方を整理しておくことが有効です。

婚姻費用の額と請求の現実

 別居後、原則として相手方に対し婚姻費用(生活費)を請求することができます。
 もっとも、「別居したら自動的に支払われる」というものではなく、任意に応じないケースも少なくありません

 相手が支払いに応じない場合には、速やかに家庭裁判所へ婚姻費用分担調停を申し立てる必要があります。
 申立てをしなければ、原則として過去分を遡って請求することはできないため、初動の遅れは生活に直結する不利益となります。

 そのため、別居を検討する段階から、相手方・自分双方の収入資料を確保し、実際にどの程度の金額が請求できそうかを確認しておくことが重要です。

離婚理由の整理(相手も離婚に応じる可能性はあるか)

 離婚を切り出す前に、まず整理しておくべきなのは、どのような理由で離婚を求めるのか、相手が応じる可能性があるのかという点です。
 離婚理由の性質によって、話し合いでまとまるのか、調停・訴訟に進むのか、その見通しは大きく変わります。

価値観の不一致
 日常生活や将来設計に対する考え方の違いは、協議離婚では最も多い理由です。
 ただし、法的な「強さ」は弱く、相手が離婚を拒否した場合には、条件を譲歩したり、ある程度の別居期間を経て訴訟提起を検討する必要があります。

DV・モラハラ・経済的支配
 身体的暴力に限らず、精神的圧迫や生活費を渡さないといった行為も、実務上は重要な離婚理由となります。
 特に、別居や親権・監護の判断において重視される事情であり、相手が争ってくる可能性も高いため、長期化する可能性があります。

不貞行為
 不貞は、典型的な法定離婚原因の一つです。相手が離婚に応じやすい理由である一方、証拠の有無が結果を大きく左右します。

求める離婚条件の優先順位

 離婚の話し合いを始める前に、必ず行っておくべきなのが、自分が何を最優先で守りたいのかを整理することです。
 離婚条件をすべて最大限に求めようとすると、相手の反発が強まり、調停や訴訟に発展し、結果として、時間も精神的負担も大きくなり、早期解決が難しくなりがちです。

絶対に譲れない条件

 まずは、どのような場合でも譲れない条件を明確にします。
 典型的には、

  • 親権・監護権
  • 面会交流の内容

などが挙げられます。
 交渉の軸となる部分であり、安易に譲歩すべきではありません。

条件次第で調整できる条件

 一方で、状況次第では調整可能な事項もあります。
 例えば、

  • 慰謝料
  • 財産分与の内容
  • 支払条件や分割方法

 などは、他の条件とのバランスを見ながら交渉する余地があります。

交渉材料として使える条件の整理

 優先順位を整理することで、「譲れる条件」と「守る条件」を交換材料として使うことが可能になります。これは、実務上、交渉を前進させるための重要な視点です。

 離婚交渉も交渉です。感情をぶつける場ではなく、求める条件を確保する調整作業です。 
 冷静に何を優先し、何は譲歩することができるのかを整理しておくことが、現実的で納得のいく解決につながります。

弁護士に相談・依頼するかどうかの判断

 離婚を考え始めた段階で、多くの方が悩まれるのが「弁護士に相談・依頼すべきかどうか」という点です。

弁護士に代理人を依頼するべきか

 モラハラ・DV・強い支配傾向がある相手の場合、当事者同士での話し合いは、精神的負担が大きく、状況が悪化することも少なくありません。

 弁護士を代理人として立てることで、

  • 相手との直接のやり取りを避けられる
  • 言動や要求のエスカレートを防ぐことができる

というメリットがあります。

 そのほか、相手方と強い葛藤がある案件(親権、面会交流)、不動産の処理が絡む案件(住宅ローン、任意売却)、税金に目配りする必要がある案件も弁護士に依頼するメリットが得やすい類型です。

弁護士費用はどの程度かかるのか

 費用面が不安で、相談をためらわれる方も多いですが、早い段階で相談し、「この弁護士さんに依頼したい」と思える弁護士に出会えたなら、弁護士費用の見積もりをもらうとよいでしょう。

依頼するなら、どの弁護士がよいか

 離婚問題は、法的知識だけでなく、感情・安全・今後の生活設計まで見据えた対応が求められます
 離婚実務に精通し、調停・裁判を含めた対応経験のある弁護士を選ぶことが重要です。

 ただ、相性も大事です。法律相談に行ってみて、離婚問題に精通していそう、というだけでなく、何となく話がしやすい、親身になってくれそう、という弁護士を探すとよいでしょう。

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弁護士紹介

弁護士:須山幸一郎

兵庫県弁護士会所属
弁護士登録番号:29617