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父母が離婚・別居した場合、子どもと離れて暮らす親との交流をどのように行うかが問題になります。
親子交流(従来の面会交流)には、子どもと直接会う方法のほか、電話、オンライン通話、手紙などによる間接的な交流もあります。
交流の頻度や方法について父母の意見が一致しない場合には、家庭裁判所の調停・審判で取り決めることができます。また、DVや虐待、子どもの拒否などの事情がある場合には、交流の制限や実施の見合わせが問題になることもあります。
このページでは、親子交流の取り決め方、家庭裁判所の判断や調停手続、交流を拒否・制限できる場合、過度な交流を求められた場合の対応などについて説明します。
父母が離婚・別居した場合、子どもと離れて暮らす親が、子どもと直接会ったり、電話やオンライン通話、手紙などを通じて交流したりすることを「親子交流」といいます。従来は「面会交流」という言葉が広く使われていました。
2026年4月施行の改正民法では、離婚後も父母双方を親権者とする共同親権制度が導入されましたが、親子交流と親権は別の問題です。単独親権の場合でも親子交流を行うことはできますし、共同親権だからといって交流の頻度や方法が当然に変わるわけではありません。
親子交流については、民法766条において、子どもの利益を最も優先して考慮することが定められています。
そのため、交流の実施や具体的な方法については、子どもの年齢、生活状況、これまでの親子関係、子ども自身の意向などを踏まえて検討することになります。
また、DVや虐待、子どもの強い拒否などがある場合には、直接会う方法が適切なのか、交流の方法を制限する必要があるのかといった問題も生じます。
親子交流について父母の意見が一致しない場合には、離婚前後を問わず、家庭裁判所の調停・審判で取り決めることができます。
親子交流の頻度や方法については、まず父母間の協議によって決めることになります。
取り決める内容は、子どもの年齢や生活状況、父母間の関係などによって異なりますが、一般的には次のような事項が問題になります。
親子交流の頻度について、法律上、一律の基準が定められているわけではありません。
例えば、月1回程度の日中交流とする場合もあれば、より頻繁に交流する場合や、当面は直接会わずに手紙やオンライン通話などによる間接交流とする場合もあります。
また、宿泊交流についても、当然に認めなければならないものではありません。
子どもの年齢やこれまでの交流状況、宿泊に対する子どもの意向などを踏まえて検討する必要があります。
親子交流の条件を曖昧にしてしまうと、交流の実施をめぐって後から争いになることがあります。
一方、日時や場所、細かな行動まで厳密に定めると、子どもの体調不良や学校行事などに対応しにくくなる場合もあります。
例えば、「月1回程度、日中に交流する」と定めたうえで、具体的な日時や場所は事前に父母間で協議する方法があります。
ただし、父母間で連絡や協議が難しい場合には、そのような定め方では交流が実施できなくなるおそれもあります。その場合には、交流日時や受渡し場所などを、より具体的に取り決めることが考えられます。
また、DVや強い対立がある場合には、第三者機関を利用する方法や、父母が直接連絡を取らずに日程を調整する方法などを検討することもあります。
親子交流の取決めでは、実際に交流を継続できる内容になっているか、子どもの生活に無理な負担が生じないかという点が問題になります。
父母間で合意できない場合には、家庭裁判所の親子交流調停・審判によって解決を図ることになります。
親子交流の実施や具体的な条件について父母の協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に親子交流調停を申し立てることができます。離婚後だけでなく、離婚前の別居中でも申立てが可能です。
親子交流調停は、子どもと離れて暮らす親が申し立てることが多いものの、監護親から申し立てることもできます。
例えば、別居親から頻繁な交流や宿泊を求められている場合に、監護親から調停を申し立て、交流の頻度や方法について判断を求めることも考えられます。
調停では、調停委員が父母双方から事情を聴き、必要に応じて家庭裁判所調査官による調査なども行いながら、交流の可否や具体的な条件について協議します。
調停では、単に月何回会うかという問題だけでなく、そもそも交流を実施することに支障がないかが確認されます。
例えば、子どもが別居親との交流を拒否している場合には、その理由や子どもの心身の状態が問題になります。
また、監護親が過去のDVや虐待を理由に交流に反対している場合には、具体的な経緯や、交流によって生じるおそれのある問題について検討することになります。
交流を実施する場合にも、頻度や時間、宿泊の有無、受渡し方法などについて父母の意見が一致しないことがあります。
こうした事情によっては、家庭裁判所調査官による調査が必要となり、調停が長期化する場合もあります。
親子交流調停で合意が成立しなかった場合には、原則として自動的に審判手続へ移行します。
審判では、裁判官が父母の主張や提出資料、家庭裁判所調査官の調査結果などを踏まえて、親子交流の可否や方法について判断します。
そのため、父母の意見が最後まで一致しない場合でも、家庭裁判所による判断を求めることができます。
ただし、審判に移行したからといって、直接交流の実施が必ず命じられるわけではありません。子どもの状況などによっては、間接交流や交流の制限が問題になることもあります。
離婚調停では、親権や養育費、財産分与などと併せて、親子交流について話し合うことができます。
もっとも、離婚調停と親子交流調停では、合意できなかった場合の手続が異なります。
離婚調停が不成立となっても、親子交流について自動的に審判が始まるわけではありません。
そのため、離婚調停が長期化している場合や、離婚成立前に親子交流についての判断を求めたい場合には、別途、親子交流調停を申し立てることが考えられます。
当事務所で担当する事件でも、離婚調停と親子交流調停が並行して進められることがあります。
一方、離婚調停中に相手方から親子交流を求められている場合でも、相手方の希望する頻度や方法に応じなければならないわけではありません。子どもの生活状況や交流に伴う負担などを踏まえて、具体的な条件を検討することになります。
親子交流調停の期間は、父母の意見の対立状況や、子どもの意向調査が必要かどうかなどによって大きく異なります。
最高裁判所が2024年2月28日の国会答弁で示した数字によると、2023年の親子交流(当時の面会交流)事件について、調停・審判を通算した平均審理期間は約11.6か月でした(速報値)。
ただし、これは申立てから事件が終了するまでの平均期間であり、子どもとの交流が実現するまでの期間を示すものではありません。
父母の協議が比較的円滑に進めば、数回の調停で合意できることもあります。
一方、子どもが交流を拒否している場合や、DV・虐待などの事情が争われている場合には、家庭裁判所調査官による調査などが必要となり、長期間を要することがあります。
家庭裁判所調査官は、心理学や教育学などの専門的な知識を活用し、子どもの生活状況や親子関係などを調査する裁判所の職員です。
2026年4月14日の国会答弁では、司法統計によると、親子交流事件のおおむね8割に家庭裁判所調査官が関与していることが説明されています。
もっとも、調査官が関与した事件のすべてで、子ども本人との面接や家庭訪問が行われるわけではありません。
調査官は、事件の内容に応じて父母から事情を聴いたり、子どもと面接したりして、親子交流の実施に関する問題を調査します。
家庭裁判所調査官は、必要に応じて父母それぞれと面談し、別居に至った経緯、これまでの子どもの監護状況、親子交流についての考え方などを聴き取ります。
また、子どもの年齢や発達状況に応じて、子ども本人と面接し、離れて暮らす親に対してどのような気持ちを抱いているのか、交流についてどのような希望や不安があるのかなどを確認することもあります。
調査は家庭裁判所内で行われるほか、必要に応じて家庭訪問などの方法が取られることもあります。子どもが交流を拒否している場合には、その理由や背景を調査することがあります。
例えば、別居親との過去の関係に問題があったのか、交流に対してどのような不安を感じているのか、現在の生活状況にどのような影響が生じているのか、といった点です。
子どもの発言についても、年齢や発達の程度、置かれている状況などを踏まえて評価する必要があります。
調査官による調査は、子どもの意向を確認するだけでなく、交流の実施に支障となる事情を把握し、どのような交流方法が考えられるのかを検討するためにも行われます。
親子交流調停では、必要に応じて、家庭裁判所内で子どもと別居親が試行的に交流する機会を設けることがあります。
例えば、長期間交流が途絶えている場合などに、家庭裁判所調査官が親子の交流の様子を確認し、今後の交流方法を検討するために実施されることがあります。
ただし、子どもが交流を強く拒否している場合や、DV・虐待などの問題がある場合に、当然に試行的実施が行われるわけではありません。
試行的実施そのものが子どもに大きな負担を与えるおそれがある場合には、その必要性や適否を慎重に検討することになります。
また、試行的実施で一度交流ができたとしても、それだけで継続的な直接交流が適切であると決まるわけではありません。
実施時の子どもの反応だけでなく、交流前後の状態や生活への影響なども問題になります。
親子交流(面会交流)について父母の意見が対立した場合、家庭裁判所は、子どもの利益を最も優先して、交流を実施するかどうか、実施するとしてどのような頻度や方法が適切かを判断します。
従来の家庭裁判所の実務では、子どもと離れて暮らす親との直接交流を積極的に実施する傾向がありました。しかし、直接交流を実施することが、すべての子どもにとって望ましいとは限りません。
実際の調停・審判では、次のように、事情に応じて異なる判断が考えられます。
子どもと別居親との関係が良好であり、子ども自身も交流を希望している場合には、定期的な直接交流を実施する方向で検討されることが多いと考えられます。
また、監護親が交流に消極的であっても、子どもとの関係に特段の問題がなく、交流によって子どもに具体的な不利益が生じる事情が認められなければ、直接交流が認められることがあります。
例えば、父母間の不仲や離婚原因についての対立だけでは、直ちに親子交流を認めない理由になるわけではありません。
交流の頻度については、月1回程度の日中交流とする例もありますが、法律上の標準的な回数が決まっているわけではありません。子どもの年齢、これまでの交流頻度、生活状況などによって判断されます。
直接交流自体は可能であっても、当初から長時間の交流や宿泊交流を実施することが適切とは限りません。
例えば、子どもが幼い場合、別居親との交流が長期間途絶えている場合、子どもが交流に不安を感じている場合などには、短時間の交流から始める方法が考えられます。
また、これまで宿泊を伴う交流の経験がほとんどない場合には、日中の交流を継続したうえで、宿泊の可否を検討することもあります。
別居親が毎週末の交流や宿泊交流を希望していても、その頻度や方法が当然に認められるわけではありません。学校生活や習い事、子どもの休息時間への影響なども考慮されます。
父母が直接顔を合わせることでトラブルが生じるおそれがある場合には、受渡し方法を工夫したり、第三者機関の利用を検討したりすることもあります。
子どもが別居親との交流を強く拒否している場合や、直接会うことによって大きな精神的負担が生じるおそれがある場合には、当面は直接交流を見合わせることがあります。
その場合、手紙、写真、オンライン通話などによる間接交流が検討されることがあります。
ただし、子どもが「会いたくない」と言っているからといって、必ず直接交流が否定されるわけではありません。
家庭裁判所では、子どもの年齢や発達の程度、拒否する理由、これまでの親子関係などを踏まえて、その意向をどのように評価するかが問題になります。
例えば、過去に別居親から暴言や威圧的な言動を受けていた場合には、それが交流への拒否につながっている可能性があります。
一方、別居直後の混乱や父母間の対立などが、子どもの気持ちに影響している場合もあります。
こうした事情を確認するため、家庭裁判所調査官による調査が行われることがあります。
なお、間接交流であれば常に実施できるというわけではなく、子どもにとって負担となる場合には、その方法や実施の必要性自体が問題になります。
親子交流を実施することが子どもの利益に反する場合には、交流を認めない判断がされることもあります。
例えば、別居親による子どもへの虐待があった場合や、交流によって子どもの安全が脅かされる具体的なおそれがある場合です。
また、監護親に対するDVがあった事案でも、交流の実施や父母間の連絡を通じてDVが継続するおそれがある場合には、交流を実施することの適否が問題になります。
子どもが別居親に対して強い恐怖を抱いており、交流によって心身の状態が悪化するおそれがある場合などにも、交流を見合わせる判断が考えられます。
もっとも、DVや虐待の主張がある場合でも、その内容や経緯、子どもへの影響などを個別に検討する必要があります。
また、直接交流を認めない場合でも、当面の実施を見合わせるのか、間接交流も含めて交流を認めないのかは、事情によって判断が異なります。
親子交流の審判では、交流を認めるか否かという二者択一だけでなく、頻度、時間、宿泊の有無、受渡し方法などについて、具体的な判断が行われます。
例えば、父親から毎週末の宿泊交流を求められた場合、監護親がその要求に反対していても、直ちに親子交流そのものを拒否していることにはなりません。
直接交流自体は認めつつ、頻度を月1回程度としたり、当面は宿泊を伴わない日中交流に限ったりすることも考えられます。
したがって、親子交流の調停・審判では、交流を実施するかどうかに加え、具体的にどのような交流方法が子どもの現在の生活や心身の状態に適しているかが重要な争点になります。
親子交流(面会交流)の調停では、子どもと同居している親から「子ども自身が相手方に会いたくないと言っている」との説明がされることがあります。
子どもが交流を拒否している場合、その意向は重要な判断材料となります。しかし、子どもが「会いたくない」と言えば必ず交流が認められなくなるわけでも、反対に、親子交流のために子どもの拒否を無視してよいわけでもありません。
家庭裁判所では、子どもの年齢や発達の程度、これまでの親子関係、交流を拒否する理由などを踏まえて、子どもの意向をどのように評価するかが問題になります。
例えば、別居親から暴力や暴言を受けた経験があり、そのために強い恐怖を感じている場合には、直接交流を見合わせる方向で検討されることがあります。
一方、別居直後の生活環境の変化に戸惑っている場合や、長期間会っていないため交流に不安を感じている場合には、その事情に応じた交流方法が検討されることもあります。
また、年齢が高く、自分の考えを十分に表現できる子どもが、具体的な理由を挙げて交流を拒否している場合には、その意向を無視して直接交流を実施することは難しくなります。
ただし、子どもの年齢によって交流の可否が自動的に決まるわけではありません。
子どもの拒否が争点になっている場合には、家庭裁判所調査官が子どもと面接するなどして、その意向や心情を調査することがあります。
調査では、子どもが実際にどのような経験をしてきたのか、別居親との関係をどう感じているのか、交流によってどのような負担が生じるのかなどが問題になります。
父母の対立の中で、子どもが一方の親に気を遣い、自分の気持ちを自由に表現できなくなっていることもあります。このような状態は「忠誠葛藤」と呼ばれます。
もっとも、子どもの拒否を忠誠葛藤だけで説明することは適切ではありません。別居親自身の言動や過去の親子関係が、拒否の原因となっている場合もあるからです。
例えば、交流前に子どもが強い不安を示していたことや、交流後に睡眠や登校などの日常生活に変化が生じたことがあれば、その状況も判断材料となります。
一方、直接交流が難しい場合でも、手紙などによる間接交流が可能か、当面は交流を見合わせるべきかなど、検討される内容は事案によって異なります。
子どもが交流を拒否している事件では、拒否の理由や背景を十分に確認しないまま、交流の実施を前提として話を進めることは適切ではありません。
子どもが親子交流を拒否していても、その理由を明確に説明できるとは限りません。
特に年齢の低い子どもでは、別居親と会うことに不安や負担を感じていても、その気持ちをうまく言葉にできないことがあります。また、ある程度成長した子どもであっても、「何となく嫌だ」「楽しくない」といった説明にとどまることがあります。
このような場合、具体的な理由を説明できないからといって、子どもの拒否を軽視することは適切ではありません。
また、当初は親子交流に応じていたものの、何度か交流を重ねるうちに、子どもが行きたがらなくなるケースもあります。
例えば、交流中の過ごし方が子どもの希望に合わない場合や、別居親との会話に気まずさを感じている場合、休日に友人と遊んだり、習い事に参加したりすることを優先したい場合などです。
このような事情は、虐待や暴力のように明確な問題ではなくても、子どもが交流を負担に感じる理由となり得ます。
親子交流の開始当初は問題なく実施できていたとしても、その後の子どもの気持ちや生活状況が変化することはあります。そのため、過去に交流ができていたという理由だけで、従前と同じ方法での交流を続けることが適切とは限りません。
調停では、子どもが交流を嫌がるようになった時期や、それまでの交流の様子、交流前後の言動、日常生活への影響などを確認し、現在の交流方法が子どもに合っているかを検討することになります。
事情によっては、交流の頻度を減らす、時間を短くする、当面は直接交流を見合わせるなどの対応が考えられます。
親子交流は、子どもと離れて暮らす親との関係を維持するためのものですが、どのような場合でも実施しなければならないわけではありません。
交流によって子どもの安全や心身の健康に悪影響が生じるおそれがある場合には、直接交流を制限したり、当面の実施を見合わせたりすることがあります。
別居親から子どもに対する暴力や暴言、心理的虐待などがあった場合には、交流の実施によって再び被害が生じるおそれがないかが問題になります。
また、監護親がDVを受けていた場合にも、その事情は親子交流の判断と無関係ではありません。
例えば、子どもがDVを目撃して強い恐怖を抱いている場合や、親子交流の連絡・受渡しを通じて監護親への威迫や支配が続くおそれがある場合には、直接交流の実施が適切かどうか、慎重な検討が必要です。
事案によっては、直接交流を見合わせるほか、第三者の立会いや受渡しの支援を利用する方法などが検討されることもあります。
ただし、第三者が立ち会えば必ず安全が確保されるわけではありません。危険の内容によっては、第三者の関与を前提としても交流の実施が適切でない場合があります。
親子交流の機会を利用して、別居親が子どもを連れ戻したり、約束した日時に子どもを返さなかったりする具体的なおそれがある場合には、交流方法の制限が問題になります。
例えば、過去に子どもを無断で連れ去ったことがある場合や、交流後も子どもを返さない旨の発言を繰り返している場合などです。
このような事情がある場合には、交流場所を限定したり、第三者の立会いを求めたりするほか、危険の程度によっては直接交流を見合わせることも考えられます。
子どもの拒否については、その年齢や発達の程度、拒否する理由、これまでの親子関係などを踏まえて判断されます。
特に、別居親に対する恐怖や過去の不適切な言動が拒否の原因となっている場合には、その事情を具体的に検討する必要があります。
監護親が再婚したり、子どもが再婚相手と養子縁組をしたりしても、それだけで別居親との親子交流が認められなくなるわけではありません。
もっとも、新たな家庭での生活状況や子どもの意向などによっては、交流の頻度や方法について見直しが必要になる場合があります。
親子交流を拒否・制限する事情がある場合には、その理由や経緯を具体的に整理しておくことが重要です。
例えば、子どもに対する暴力や暴言、交流後の心身の不調、子どもを返さない旨の発言などがあった場合には、その日時や内容、子どもの様子などを記録しておくことが考えられます。LINEなどのやり取りや、学校・医療機関への相談記録が資料となる場合もあります。
一方、子どもへの具体的な悪影響や安全上の懸念がないにもかかわらず、父母間の不仲や離婚をめぐる対立だけを理由として交流を拒否し続けた場合には、その対応が調停・審判で問題となることがあります。
もっとも、DVや虐待、子どもの心身への深刻な影響などが懸念される場合には、安全確保のため、交流を中止する必要が生じることもあります。一方的に交流を中止したというだけで、その対応が不当と判断されるわけではありません。
既に調停や審判で交流の内容が定められている場合には、従前の取決めとの関係も問題になります。事情が変化した場合には、親子交流の変更を求める調停・審判を検討することになります。
また、交流を求める側についても、親であるという理由だけで、希望する頻度や方法の交流が当然に認められるわけではありません。過去の言動や約束の遵守状況なども、交流方法を検討する際の判断材料となります。
別居親から、毎週末の親子交流や長時間の交流、宿泊を伴う交流などを求められることがあります。
親子交流の頻度について、法律上の一律の基準はありません。別居親が希望する頻度や方法を、そのまま受け入れなければならないわけでもありません。
親子交流は、子どもと離れて暮らす親との関係を維持するためのものですが、交流の回数を増やすことが、必ずしも子どもの利益につながるとは限りません。
例えば、毎週末に親子交流を実施する場合、子どもは学校生活や習い事、友人との付き合いに加え、交流の予定に合わせて休日を過ごすことになります。
子ども自身が自由に別居親と行き来できる関係であれば、このような負担は比較的小さいかもしれません。しかし、交流のたびに父母間で日程を調整し、送迎や受渡しが必要になる場合には、事情が異なります。
特に、受渡しに祖父母などの監護補助者が関与する場合には、その予定も調整しなければなりません。監護親本人だけでなく、家族全体の休日や生活が交流の予定によって制約されることになります。
また、父母間の対立が強い場合には、日程調整や受渡しのたびに精神的な負担が生じることもあります。
このような負担は、子どもに直接生じるものだけではありません。監護親やその家族の生活に過度な負担がかかることは、子どもの生活環境にも影響します。
親子交流の取決めをする際には、子どもの体調不良や学校行事などによって、予定どおり実施できない場合も考えておく必要があります。
例えば、月1回の交流であれば、日程を変更して代替日を設けることが比較的容易な場合もあります。
しかし、毎週末の交流を約束している場合には、別の日に振り替える余地が少なくなります。翌週には次の交流が予定されているため、代替日を設定しようとすると、子どもや監護親家族の休日がさらに制約されることにもなります。
その結果、交流を実施できなかった理由や代替日の設定をめぐって、父母間で新たな紛争が生じることがあります。
交流の頻度を決める際には、予定どおり実施できるかだけでなく、実施できなかった場合に無理なく調整できるかも考慮する必要があります。
親子交流の頻度をめぐる紛争では、別居親が「できるだけ多く子どもと会いたい」と希望すること自体は自然なことです。
しかし、毎週末の交流や宿泊を強く求める一方で、子どもの学校生活、習い事、友人関係、監護親家族の負担などに十分な配慮が見られない場合もあります。
また、離婚や別居をめぐる父母間の対立が、交流の頻度に関する要求に影響していると思われるケースもあります。
もっとも、交流を求める親の本心を外部から判断することは容易ではありません。
調停・審判では、相手方の動機を問題にするよりも、その要求を実現した場合に、子どもの生活や監護環境にどのような支障が生じるのかを具体的に検討することになります。
親子交流は、別居親の希望する回数を確保するためのものではありません。交流を実施すること自体が目的となり、かえって子どもや監護親家族の日常生活に過大な負担を生じさせるのであれば、本来の趣旨に沿った取決めとはいえないでしょう。
宿泊交流についても、別居親から希望があれば当然に認められるものではありません。
例えば、子どもが幼い場合や、これまで別居親との宿泊経験がない場合、子ども自身が宿泊に不安を示している場合には、その事情を考慮する必要があります。
また、日中の交流が安定して実施できていない段階では、直ちに宿泊交流を始めることが適切かどうかも問題になります。
一方、子ども自身が宿泊を希望し、これまでも問題なく宿泊していた場合には、宿泊交流が認められることもあります。
日中の交流を認めることと、宿泊を認めることは別の問題です。
私は、子ども自身が自由な意思で別居親との交流を希望し、父母や周囲の協力によって無理なく実施できる場合はともかく、監護親やその家族の継続的な協力を必要とする親子交流について、高頻度の交流を将来にわたる約束として定めることには慎重であるべきだと考えています。
一度、離婚協議書や調停で交流の頻度を定めると、その後に子どもの生活状況が変化しても、取決めの変更について柔軟な対応が難しくなることがあります。
特に、毎週末などの高頻度の交流を約束している場合、子どもの成長に伴って習い事や友人との予定が増え、従前の取決めを維持することが難しくなることも少なくありません。親子交流があるからという理由で、子どもが習い事や友人との交流を控えてしまうということは好ましいとは言えません。
そのため、調停では、現在の子どもの生活や監護環境及び将来予測できる事情に照らして無理なく実施できる頻度を検討する必要があると考えます。
「養育費を支払ってもらっていないので、子どもには会わせたくない」という相談を受けることがあります。
しかし、養育費の支払いと親子交流は、法律上、別々に考えるべき問題です。
養育費が支払われていないからといって、それだけを理由に親子交流を拒否できるわけではありません。
反対に、子どもに会わせてもらえないことを理由として、養育費の支払いを拒むこともできません。
また、離婚の際に「養育費を請求しない代わりに、子どもには会わない」という約束をしたとしても、その合意によって、将来にわたって養育費の請求や親子交流が一切認められなくなるわけではありません。
もっとも、養育費を支払っていない親から交流を求められた場合、監護親が不信感を抱くことは理解できます。
その場合でも、親子交流の可否や方法は、養育費の支払状況だけではなく、これまでの親子関係や子どもの意向、交流に伴う負担などを踏まえて判断されます。
養育費の不払いについては、まずは適正な金額の養育費を取り決め、履行勧告や強制執行などの手続によって解決を図ることになります。
親子交流(面会交流)について調停や審判で取り決めたにもかかわらず、約束どおりに交流が実施されないことがあります。
このような場合には、家庭裁判所による履行勧告や、間接強制という強制執行の手続を検討することができます。
もっとも、親子交流は、子どもを強制的に連れ出して実施させることができるものではありません。また、取り決めが守られていないからといって、必ず間接強制が認められるわけでもありません。
履行勧告とは、調停や審判で定められた親子交流が実施されない場合に、家庭裁判所から相手方に対して、取決めを守るよう働きかけてもらう制度です。
履行勧告の申出は、調停や審判を行った家庭裁判所に対して行います。
家庭裁判所調査官などが相手方から事情を聴き、交流が実施されていない理由を確認したうえで、履行を促すことがあります。
ただし、履行勧告には強制力がなく、相手方が応じなかった場合に、それだけで金銭的な制裁を科すことはできません。
間接強制とは、親子交流の取決めを履行しない場合に、一定額の金銭を支払うよう命じる ことで、履行を促す強制執行の方法です。
例えば、親子交流を実施しなかった場合に、1回につき数万円を支払うよう命じられることがあります。
もっとも、調停や審判で親子交流が定められていれば、常に間接強制ができるわけではありません。
最高裁判所は、平成25年3月28日の決定において、親子交流の日時または頻度、各回の交流時間の長さ、子どもの引渡し方法などが具体的に定められ、監護親が履行すべき義務の内容が十分に特定されている場合には、間接強制が可能であるとの判断を示しました。
反対に、交流の頻度や時間が定められていても、子どもの引渡し方法が具体的に定められていない場合などには、間接強制が認められないことがあります。
例えば、「月1回程度、日時や場所は父母間で協議して決める」という取決めでは、間接強制に必要な義務の特定が十分でない可能性があります。
このように、間接強制ができるかどうかは、調停調書や審判書に記載された取決めの具体的な内容によって異なります。
調停や審判で親子交流が定められた後、子ども自身が交流を拒否するようになることもあります。
このような場合には、子どもの拒否があるというだけで、直ちに監護親の履行義務がなくなるわけではありません。
一方、間接強制によって金銭的な負担を課したとしても、子ども本人の意思に反して交流を実施できるとは限りません。
特に、子どもの成長や生活状況の変化によって、従前の取決めどおりに交流を続けることが難しくなっている場合には、その事情を具体的に検討する必要があります。
子どもが交流を拒否する理由や、監護親が交流の実施に向けてどのような対応をしてきたかなども問題になります。
調停や審判で親子交流を取り決めた後でも、事情の変化によって、従前の条件を維持することが適切でなくなる場合があります。
例えば、子どもが成長して学校生活や習い事の予定が増えた場合、交流を拒否するようになった場合、交流中に新たなトラブルが生じた場合などです。
このような場合には、父母間で交流条件の変更を協議し、合意できなければ、親子交流の変更を求める調停・審判を申し立てることが考えられます。
また、DVや虐待など、子どもの安全に関わる事情が生じた場合には、交流の中止・制限を含めた対応を検討する必要があります。
親子交流の取決めが守られていない場合でも、従前の取決めを履行させるべき事案なのか、子どもの現在の状況に応じて取決め自体を見直すべき事案なのかによって、適切な対応は異なります。
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