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離婚をめぐる問題の中でも、「子どもの親権を誰が持つのか」は、当事者にとって最も大きな関心事であり、同時に誤解や不正確な情報が非常に多い分野でもあります。
しかし、これらは必ずしも正しくありません。親権は、家庭裁判所が重視する一定の判断枠組みに基づいて決められます。
その判断枠組みを知らないまま行動してしまうと、結果的に不利な状況を自ら作ってしまうこともあります。
このページでは、親権に関して特に相談の多いテーマを整理し、必要なところから確認できるよう、項目ごとに解説しています。
親権とは、未成年の子が心身ともに健全に成長し、社会的に自立するまでの間、子を養育・保護するために親に与えられた権利と義務の総称です。
具体的には、子の生活全般を見守り育てること(監護・養育)、子の財産を適切に管理すること、そして子の法定代理人として法律行為を行うことなどが含まれます。
「親権」という言葉から、親が子に対して強い権限を持つ制度だと誤解されることもありますが、実際には、子の利益を最優先に考え、その成長を支えるための義務的性格が非常に強い制度であると考えられています。
離婚する際には、父母のどちらが親権者となるかを定めなければなりません。
そのため、離婚協議や調停・裁判の場面では、親権の帰属が大きな争点となることが少なくありません。(法改正により、2026年4月1日から、離婚後も共同親権を選択できるようになります)
もっとも、親権者となった場合には、単に「子と一緒に暮らせる」という権利を得るだけでなく、子の生活、教育、健康、財産に対して広範な責任を負うことになります。
この点について、民法も「親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う」と定めており、親権が権利であると同時に義務であることを明確にしています(民法820条)。
親権の対象となるのは、未成年の子です。
民法上、未成年とは18歳未満の子を指します。
実子か養子かを問わず、未成年である限り親権に服することとされており、就職して収入を得ている場合や、事実上自立した生活を送っている場合であっても、18歳に達しない限りは親権の対象となります。
ただし、未成年であっても婚姻をした場合には、成年に達したものとみなされるため、その時点から親権には服さなくなります(民法753条)。
離婚にあたってよく誤解されやすいのが、親権と監護権の違いです。
「親権=子どもと一緒に暮らす権利」と思われがちですが、実際には両者は少し異なる概念です。
親権は、未成年の子を養育・保護するために親に与えられた包括的な権利義務です。
親権には、主に次のような内容が含まれます。
つまり、親権は、子の生活・財産・法律行為全般を包括的に管理する立場にあることを意味します。
一方で、監護権とは、子と実際に一緒に生活し、日常の世話や教育を行う権限を指します。
具体的には、
といった、日々の生活に密着した養育行為が中心となります。
原則として、親権者と監護権者は同一人物とされます。
しかし、離婚の場面では、親権と監護権を分けて定めること(分属)も可能です。
たとえば、
とし、母が子と同居して日常生活を支え、父が財産管理や法的手続きを担当するといった形が取られることもあります。
これは、「どちらが親権者になるか」で争いが激化し、子に不利益が及ぶことを避けるための現実的な解決策として選択されることがあります。
しかし、親権と監護権の分属は、実務的には一般的ではありません。
親権は、未成年の子を養育し、社会的に自立するまで支えるために、
子の監護・養育や財産管理を行うという親の権利であると同時に強い義務を伴う制度です。
そのため、「どちらが親として優位か」という視点ではなく、どちらの親のもとで生活することが、子どもにとって最も利益になるのかという観点から判断されます。
裁判所は、この「子の福祉(最善の利益)」を中心に、父母それぞれの事情を個別に検討し、一つの要素に偏ることなく総合的に判断します。
子が安定した生活を送り、教育・医療などを受けられる環境が整っているかは重要な要素です。
もっとも、経済力の大小だけで親権が決まるわけではなく、生活全体の安定性が総合的に考慮されます。
親自身の健康状態や精神的な安定性も、子を継続的に養育できるかどうかという観点から評価されます。
仕事や生活状況を踏まえ、子どもと向き合う時間をどの程度確保できるかも重視されます。
また、祖父母などの監護を補助する存在がいるかどうかも、養育環境を判断する材料となります。
これまでに、実際にどちらの親が日常的な養育を担ってきたか、いわゆる「主たる監護者」がどちらであったかは極めて重要な要素です。
現在の生活環境に大きな問題がなければ、環境を変えずに維持する方が子にとって負担が少ないと考えられており、監護の継続性は強く考慮される傾向にあります。
子が一定の年齢に達している場合には、その意向が考慮されることもあります。
もっとも、子どもは父母双方を気遣い、本心を率直に表現できないことも多いため、意向の確認は慎重に行われます。
そのため、子どもの意思確認は、原則として家庭裁判所調査官が担当し、言動や態度なども含めて総合的に判断されます。
なお、子どもの意向は重視されますが、それだけで決まることはありません。
転校の必要性や受験への影響など、教育環境に大きな変化が生じるかどうかも考慮要素となります。
離婚原因についてどちらに責任があるかという点も、一要素として考慮されることはあります。
ただし、有責性のみで親権が決まるわけではありません。
子が離婚後も両親と良好な関係を維持できるよう、面会交流に協力的な親かどうかは、近年特に重視されています。
他方の親との面会交流を尊重し、柔軟な養育姿勢を示すことは、親権者としての適格性を評価する重要な要素となります。
正当な理由なく子を連れ去るなどの行為があった場合には、その経緯や影響が慎重に検討されます。
親権の判断は、どちらの親が「勝つか」「得をするか」という問題ではありません。
どの環境が、子どもの幸せと健やかな成長につながるのか。
この視点を見失わず、冷静に対応することが、結果として最も望ましい解決につながります。
裁判所も、当事者がこの視点を持てているかを注視しています。
親権を希望する場合、「相手に問題がある」「自分の方が子どもを大切にしている」
といった感情や主張だけでは足りません。
裁判所が重視するのは、将来にわたって、安定した養育環境を具体的に示せるかどうかです。そのため、早い段階からの準備が非常に重要になります。
親権判断では、これまで主に誰が子どもを世話してきたか(主たる監護者)が重視されます。次のような点を、事実ベースで整理しておきましょう。
日記やメモ、写真、連絡履歴なども、監護実績を裏付ける資料として役立つことがあります。
調査官調査では、母子手帳の提出が求められることも多いです。
親権は「過去」だけでなく、将来の見通しも重視されます。
以下の点について、説明できるように準備しましょう。
抽象的に「問題なくやっていけると思う」ではなく、具体的な生活イメージを示せるかどうかが重要です。
仕事などの事情で十分な時間が取れない場合、子どもが急病になった際の対応などでも、祖父母など監護を補助する存在がいれば、養育環境として評価されることがあります。
を整理し、現実的な体制として説明できるようにしておきましょう。
調査官調査では、監護補助者の面談が行われることもあります。
親権を得たいのであれば、「相手に会わせない」「関わらせたくない」という姿勢は好ましくありません。
裁判所は、子どもが離婚後も両親と関係を保てることを重視します。
を、一貫した態度で示すことが重要です。
このような行動は、親権判断において大きなマイナス評価につながるおそれがあります。
親権を望むからこそ、冷静で安定した対応を心がけることが重要です。
親権に関する判断は、一度不利な流れができると、後から覆すことが難しい分野です。
これらは、早期に専門家へ相談することで、不必要な不利を避けられるケースが多くあります。
親権は「勝ち負け」の問題ではありません。しかし、準備の有無によって結果が左右される場合があることも事実です。
感情に任せた行動を取る前に、子どもの生活をどう守るかという視点で、一歩立ち止まって考えることが、最終的に親権を守ることにつながるのではないかと考えます。
親権の判断は、離婚調停や離婚訴訟の場面で行われますが、その前段階として、別居後の子の監護状況が争点となることが少なくありません。
具体的には、子の監護者指定や子の引渡し、審判前の保全処分といった手続が、後の親権判断に影響を及ぼす可能性があります。
これらの手続は、「親権を決めるもの」ではありませんが、親権争いの前哨戦として位置づけられることも多く、対応を誤ると、その後の手続に不利な影響が生じるおそれがあります。
別居後すぐの対応や、これらの手続がどのような意味を持つのかについては、以下のページで詳しく解説しています。
これまで日本の法律では、父母が離婚した場合、必ずどちらか一方を親権者と定める必要があり、離婚後に父母が共同で親権を行うことは認められていませんでした(単独親権)。
しかし、2024年(令和6年)5月の民法改正により、離婚後であっても、父母が共同で親権を行うという選択肢が新たに設けられました。 この改正法は、2026年4月1日から施行される予定であり、それ以降の実務は大きく変わることになります。
重要な点として、今回の法改正は、「離婚後は必ず共同親権とする」という制度変更ではありません。
あくまでも、
を、事情に応じて選択できるようになったという点に注意が必要です。
今後も、離婚後の親権を単独親権とするケースは想定されています。
離婚に際し、父母の協議によって、単独親権とするか共同親権とするかを決めることが基本となります。
もっとも、協議が成立しない場合には、家庭裁判所が父母の事情や子の利益を踏まえて親権のあり方を判断します。
この場合、
家庭裁判所が、子の利益に適うと判断すれば、共同親権を定めることができるとされています。
今回の法改正は、改正法の施行前に離婚したケースにも影響します。
すでに離婚が成立し、現在は単独親権となっている場合であっても、家庭裁判所に親権者変更の申立てを行い、認められれば、共同親権へ変更することが可能となりました。
もっとも、変更が当然に認められるわけではなく、子の生活状況や父母の協力関係などを踏まえ、子の利益にかなうかどうかが慎重に判断されることになります。
共同親権は、父母が離婚後も協力して子を養育することを前提とした制度です。
そのため、
には、必ずしも適切な選択とならないこともあります。
制度の変更だけに注目するのではなく、自分たちの状況においてどの形が子にとって最もよいのかを、慎重に検討することが重要です。
離婚後に共同親権とするか、単独親権とするかについて、夫婦が合意できない場合は改正民法819条7項に基づき、家庭裁判所が判断することになります。
同条は、裁判所が親権のあり方を定めるにあたって、子の利益を最優先とし、父母と子との関係、父母相互の関係その他一切の事情を総合的に考慮すべきことを定めています。
そのうえで、次のような事情がある場合など、共同親権とすることが子の利益を害すると認められるときには、単独親権としなければならないとされています。
父または母が、子の心身に対して害悪を及ぼすおそれがあると認められる場合には、共同親権は選択されません。
次のような事情を踏まえ、父母が協力して親権を行うことが難しいと判断される場合にも、単独親権とされることになります。
単に意見が対立しているというだけでは足りず、共同で意思決定を行うこと自体が困難であるかどうかが重要な判断ポイントとなります。
父母の一方が共同親権に反対している場合であっても、そのことだけで直ちに共同親権が否定されるわけではありません。
もっとも、反対の理由が具体的で合理的なものであり、共同で親権を行うことが子の利益に反すると評価される場合には、前述の「共同親権が困難な場合」に該当し、共同親権が認められない可能性があります。
共同親権制度は新たに導入される制度であるため、今後は、家庭裁判所調査官の関与が一層重要となる場面が増えることが予想されます。
どのような事案で共同親権が認められるのか、また、どのような事情が単独親権を相当とする理由になるのかについては、今後の家庭裁判所の運用や裁判例の集積を注視していく必要があります。
改正法が施行される令和8年4月以降は、単独親権から共同親権への変更を求める申立てに関する相談も増加することが予想されます。
当事務所では、施行後の実務運用や実際の解決事例を踏まえながら、その時点での状況に即した、率直かつ現実的な助言を行っていく方針です。
共同親権は、離婚後も父母が協力して子を養育することを前提とする制度です。
そのため、家庭裁判所は「制度として可能か」ではなく、「この父母に共同で親権を行わせることが、子の利益にかなうか」という観点から判断します。
以下は、現時点の制度趣旨や改正民法819条7項を踏まえた、実務上、判断に影響しやすい典型的なケースです。
離婚後も、
といった関係が保たれている場合には、共同で親権を行うことが可能と評価されやすくなります。
父母間に、身体的暴力や精神的圧迫といった事情がなく、一方が他方に恐怖や萎縮を強いられていないことは、共同親権を前提とするうえで重要な要素です。
細かな意見の違いがあったとしても、
について大きな対立がなく、合意形成が可能と見込まれる場合には、共同親権が選択されやすいと考えられます。
別居後・離婚後において、面会交流が安定して実施されている、または実施に向けた協力姿勢が見られる場合には、父母双方が子の利益を尊重していると評価される傾向にあります。
改正民法819条7項1号が明示するとおり、父または母が、子の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合には、共同親権は認められません。
父母間に、
がある場合には、共同で親権を行うこと自体が困難と判断され、単独親権が相当とされる可能性が高くなります。
単なる意見の不一致を超えて、
といった事情がある場合には、共同親権は現実的でないと評価されやすくなります。
このような行動が見られる場合には、共同親権を前提とする協力関係は期待できないとして、否定的に評価される可能性があります。
共同親権は、「父母が平等だから認められる制度」ではなく、「子の利益のために協力できる父母かどうか」で判断される制度です。
そのため、
が重要となります。
共同親権が定められた場合、親権はどのように行使されるのでしょうか。
この点については、改正民法824条の2に具体的な定めがあります。
改正民法では、親権は原則として父母が共同して行使すると定められました。
もっとも、次のような場合には、父母の一方が単独で親権を行使できるとされています。
さらに重要な点として、父母が共同親権者である場合であっても、監護および教育に関する日常的な行為については、各親が単独で親権を行使できるとされています。
これは、日々の生活において、その都度、父母の合意を要すると子どもの生活に支障が生じるためです。
実務的には、次のような事項は、主として子を監護している親(監護親)が単独で判断できるものと理解されています。
このように、共同親権であっても、日常生活のすべてについて父母が常に話し合い、合意をしなければならないわけではありません。
日常的な行為を超える重要な事項について、父母間で意見が一致しない場合であっても、子の利益のために必要があると認められるときには、家庭裁判所が関与する仕組みが用意されています。
具体的には、特定の事項について、父母の一方が単独で親権を行使できるよう、家庭裁判所が定めることが可能とされています。
共同親権の導入により、「父と母が交互に子と生活するようになるのではないか」「非監護親でも日常的に子どもと暮らせるようになるのではないか」といった期待や不安を抱かれる方も少なくありません。
しかし、共同親権は、子どもの生活拠点を頻繁に変える制度ではありません。
たとえば、
といった生活形態が前提とされているわけではありません。
子どもの生活の安定が最優先であり、共同親権と親子交流(面会交流)のあり方も、別個の問題と解されることが予定されています。
現時点では、共同親権が導入されたからといって、非監護親が関与できる範囲が急激に拡大するわけではないと考えられます。
共同親権は、父母が協力して重要事項を判断する枠組みを設ける制度であり、子どもの生活の安定を損なうものではあってはなりません。
共同親権が導入されることで、「面会交流の考え方や、子どもと暮らす形も大きく変わるのではないか」と感じている方も多いかもしれません。
しかし、共同親権と、面会交流・監護の在り方は、法的には別の問題として整理されます。
共同親権は、父母が離婚後も子に関する重要な事項について責任を持ち、協力して判断する制度です。
一方で、
といった点は、監護の問題として別途整理されます。
つまり、共同親権であっても、主として子を監護する親(監護親)と、同居しない親(非監護親)が存在することが通常です。
面会交流は、子どもが非監護親と継続的に交流する機会を確保するための制度であり、共同親権か単独親権かによって、当然に内容が変わるものではありません。
共同親権となった場合でも、
などは、子の年齢、生活状況、父母の関係性を踏まえて、個別に定められます。
「共同親権になったから、当然に面会交流が増える」「日常的に一緒に過ごせるようになる」という整理にはなっていません。
共同親権が導入されても、子どもの生活の安定が最優先される点は変わりません。
そのため、
といった、生活環境が頻繁に変わる形は原則として想定されていません。
子どもが安心して学校や地域生活を送れるよう、生活の拠点は一か所に定められるのが通常です。
共同親権となった場合でも、実際の子育ての中心を担うのは、日常生活をともにする監護親です。
改正民法でも、日常的な監護・教育に関する行為は、監護親が単独で判断できることが前提とされています。
そのため、共同親権を理由に、非監護親が日常の養育に広範に介入できるようになる、という整理にはなっていません。
共同親権は、親同士の権限の問題というよりも、子に関する重要事項について「関与の入口」を確保する制度と理解するのが現実的です。
これらは、共同親権であるかどうかにかかわらず、引き続き個別具体的な事情に基づいて定められます。
共同親権は、非監護親の立場を大きく変える制度だと期待されがちですが、子どもの生活を不安定にする方向で運用される制度ではありません。むしろ重要なのは、
を冷静に整理することです。
インターネット上では、「最近は、いわゆる母親優先の原則は採用されていない」といった説明を目にすることも多くなりました。
この点は制度論としてはそのとおりであり、裁判所も形式的に母親であることだけを理由に親権を決めているわけではありません。
もっとも、数多くの父親の親権争いに関与してきた実務的な感覚としては、依然として現実は容易ではないというのが率直なところです。
特に、これまでの主たる監護者が母親であったケースでは、父親が親権を取得するハードルは決して低くありません。
親権について悩み、「それでも子どもと暮らしたい」「自分こそが子の養育を担うべきだ」という思いから相談に来られる父親は少なくありません。
すべてのケースで親権取得が可能とは言えませんが、事案の内容によっては、父親であっても希望を持てるケースは確かに存在します。
当事務所でも、
父親が親権を取得または実質的に監護を担う立場を確保できた事例を経験してきました。
父親が親権を目指す場合、単なる意思表明ではなく、実際にどのように子どもを養育してきたのか、今後どう養育できるのかを具体的に示す必要があります。
これらを現実的に説明できることが重要です。
逆に言うと、これまで子に関わってきていなかったなら、親権はあきらめて、充実した面会交流を確保する方向で検討した方が良いといえます。
親権争いでは、相手の問題点を強調しすぎる主張は、かえって逆効果になることがあります。
父親が評価されるのは、自分の下で生活することが、子どもにとって具体的にどのような利益があるのかを、冷静に示せるかどうかです。
子どもの連れ去り、面会交流の妨害、感情的な言動やLINEなどでの相手への攻撃は、父親側にとって大きなマイナス要素になり得ます。
「親権を取りたい」という思いが強いからこそ、安定した対応ができる親であることを行動で示すことが重要です。
父親が親権を目指す場合、最初の対応がその後の流れを大きく左右します。
これらは、事後的な修正が難しい分野です。早期に専門家と戦略を共有することが、結果を左右する最大のポイントとなります。
父親が親権を取得することは、決して簡単ではありません。
当事務所でお引き受けした事案でも、父親が親権を確保できる可能性が高いとの印象を持っていた事案も、最終的には母親に親権が認められるケースが多いことは事実です。
正直なところ、「母親優先の原則」の壁は厚いです。
しかし、最初から諦めるべき問題でもありません。
重要なのは、
その上で、可能性のあるケースについては、当事務所としても全力で取り組む価値があると考えています。
養子縁組が成立した場合、原則として、養親が親権者となります(民法818条2項)。これは、養子が養親のもとで安定した生活を送れるよう、養親が監護・養育や財産管理などを担う立場となるためです。
養子となった子に実親がいる場合であっても、実親の親権が完全に消滅するわけではありません。
一般には、実親の親権は、養子縁組によって当然に失われるのではなく、養親が親権を行使することにより、事実上行使されない状態(潜在化)になると理解されています。
その結果、親権の行使は養親が担い、実親は親権を実際に行使する立場には立たなくなります。
養子縁組がある場合には、
といった点は、養親が中心となって担うことになります。
親権に関する整理は、子の生活の安定を最優先に考えて行われるため、養子縁組の有無によって判断枠組みが大きく変わる点には注意が必要です。
離婚と養子縁組が重なるケースでは、親権の帰属や子との関係について、思わぬ誤解やトラブルが生じやすくなります。
特に、再婚家庭や連れ子のいる家庭では注意が必要です。
以下では、実務上よく問題となるポイントを整理して説明します。
よくある誤解の一つが、「離婚すれば、元配偶者との養子縁組も当然に解消される」というものです。
しかし、離婚が成立しても、養子縁組は自動的には解消されません。
たとえば、
といった場合、離婚後も、養子縁組は存続し、法律上の親子関係も維持されます。
養子縁組を解消するためには、別途、離縁の手続きが必要です。
養子縁組が存続している限り、養親としての立場は維持され、親権や扶養義務も原則として続くことになります。
その結果、
「親権を持ち続けるつもりはなかった」
「もう関わるつもりはなかった」
という場合でも、法的には一定の責任を負い続けることになります。
離婚時には、養子縁組をどうするのかを必ず整理しておくことが重要です。
養子縁組がある場合には、親権を誰が行使するのかという点も、通常の離婚とは異なる整理になります。
養子縁組が存続している場合
→ 養親が親権者となるのが原則
離縁が成立した場合
→ 実親が親権を行使する立場に戻ることが一般的
そのため、離婚と同時に離縁をするかどうかは、親権の帰属を考えるうえでも大きな意味を持ちます。
離婚後に再婚を考えている場合、養子縁組の整理をしないままにしておくと、将来的に親子関係や親権をめぐって複雑な問題が生じるおそれがあります。
特に、
といったケースでは、後から修正しにくい問題でもありますので、事前に法的関係を整理しておくことが不可欠です。
法的な整理と同時に、忘れてはならないのが子どもの心理面への配慮です。
といった問題は、子どもにとって大きな影響を及ぼします。
離婚・養子縁組・離縁をどのように整理するかは、子の生活環境と心の安定を最優先に考えて判断すべき問題であると考えます。
離婚が成立した後、「事情が変わったので親権者を変更したい」と考える方も少なくありません。
しかし、離婚後に、父母の話し合いだけで親権者を変更することはできません。
たとえ双方が合意している場合であっても、親権者の変更は、家庭裁判所の関与が必須となります。
親権者を変更するためには、家庭裁判所に対して「親権者変更の調停」または「審判」を申し立てる必要があります。
実務上は、まず調停が行われ、話し合いによる解決が難しい場合には、家庭裁判所が審判によって判断を示します。
親権者の変更が認められるかどうかは、「子の利益にかなうかどうか」という一点を基準に判断されます。
具体的には、次のような事情が検討されます。
単に「親としての気持ちが変わった」「より育てたいと思うようになった」といった事情だけでは、変更が認められることは多くありません。
令和8年4月1日から施行される改正民法により、離婚後であっても、共同親権を選択できる制度が導入されます。
これに伴い、現在は単独親権となっている場合でも、家庭裁判所に「親権者変更の申立て」を行い、認められれば、共同親権へ変更することが可能となります。
もっとも、共同親権への変更が認められるかどうかについても、子の利益に反しないか、父母が協力して親権を行えるかといった点が慎重に審査されます。
父母間の対立が激しい場合や、連絡・協議が著しく困難な場合には、共同親権への変更は認められにくいと考えられます。
親権者変更の手続では、現在の監護環境を大きく変えることのリスクが強く意識されます。
そのため、
といった点が、厳しく検討されます。
特に、長期間にわたり安定した監護環境が維持されている場合には、変更のハードルは高くなる傾向があります。
親権者の変更は、「親のための制度」ではなく、あくまで子どものための制度です。
単独親権から単独親権への変更、単独親権から共同親権への変更、いずれの場合であっても、準備とタイミングが大切です。
検討段階であっても、一度、専門家に相談し、現実的な可能性と注意点を整理しておくことが重要です。
これまでの法律では、離婚を成立させるためには、必ず父母のいずれか一方を親権者として定める必要がありました。
そのため、離婚自体には合意していても、親権で意見が対立している場合には、離婚が進まないというケースも少なくありませんでした。
しかし、今回の民法改正により、親権についての合意が成立していなくても、一定の条件のもとで離婚を先に成立させることが可能となりました。
改正法では、親権者の指定について、
「家庭裁判所に親権者を定めるための家事調停または審判の申立てがすでに行われている場合」
親権者が最終的に決まっていなくても、離婚自体は成立させることができる
とされています。
つまり、親権の帰属については引き続き裁判所で判断を仰ぎつつ、婚姻関係だけを先に解消するという選択が可能になったということです。
この制度変更により、
といったケースでは、親権の問題を切り離し、まずは離婚を成立させるという現実的な対応が取りやすくなりました。
これにより、精神的・社会的な負担を軽減しながら、親権については時間をかけて冷静に争うことが可能となります。
もっとも、親権を定めずに離婚できるようになったとはいえ、親権の問題が解決しなくてよいという意味ではありません。
などについては、子どもの生活に直結するため、離婚後も引き続き調整・判断が必要となります。
そのため、離婚を先行させるかどうかは、親権紛争の状況や子どもの生活への影響を踏まえて慎重に判断すべき問題です。
親権で争いが続くと、「離婚したいのに、いつまでも前に進めない」という状況に陥ることがあります。
今回の改正は、そうした行き詰まりを解消するための選択肢を広げたものです。
もっとも、離婚を先に成立させることが本当に有利かどうかは、事案ごとに判断が分かれます。
早い段階で選択肢を整理し、自分と子どもにとって最も負担の少ない進め方を検討することが重要です。
親権について合意ができていなくても、一定の条件のもとで離婚を先に成立させることが可能となりました。
もっとも、この選択には明確なメリットと注意すべきデメリットの双方があります。
以下では、実務上よく問題となるポイントを整理します。
親権争いが長期化すると、婚姻関係が続いていること自体が大きな心理的負担になるケースがあります。
離婚を先に成立させることで、
といった効果があり、親権の問題に冷静に向き合う余地が生まれることがあります。
離婚と親権を同時に争うと、感情的対立が激しくなり、全体が行き詰まりやすくなります。離婚を先行させることで、
を切り分けて考えられるため、争点を整理しやすくなるという利点があります。
離婚が成立すれば、
が明確になり、生活の立て直しを進めやすくなる場合があります。
離婚後の親権争いでは、現実に子を監護している状況の継続性が重視されます。
離婚を先に成立させた結果、
と、後から親権者変更を求める際のハードルが高くなるおそれがあります。
離婚が未成立の段階では、離婚条件全体の中で親権を交渉する、という余地がありますが、離婚が成立してしまうと、親権のみを単独で争う構図になります。
その結果、交渉の柔軟性が下がるケースもあります。
親権が未確定の状態でも、
といった問題は日常的に生じます。
離婚後にこれらを個別に調整することになり、紛争が長期化する可能性も否定できません。
離婚を先にするかどうかは、「早く離婚できるかどうか」だけで判断すべきではありません。
重要なのは、
を総合的に見極めることです。
特に、親権を強く希望している場合には、離婚を急ぐことで不利になるケースもあるため、慎重な判断が求められます。
なお、私は、親権問題を棚上げにして、離婚だけを先に成立させたいという依頼者に対しては、紛争は一回的に解決した方が良いという考えから反対の立場で助言することが多いように思われます。
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