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A:いいえ。すべての遺産について遺産分割が必要なわけではありません。大きく分けて次の3種類があり、遺産分割が必要なものと不要なものがあります。
① 遺産分割が必要な財産
相続人の話し合い(遺産分割協議)によって、誰が取得するかを決める必要がある財産です。
これらは遺産分割協議で誰が相続するのかを決める必要があります。
② 遺産分割をしなくても相続分に応じて当然に分割される財産
次のような金銭債権・金銭債務は、法律上、相続人の相続分に応じて当然に分割されます。
例えば、相続人が2人であれば、当然に2分の1ずつ承継します。
③ 法律で承継者が決まっている財産(祭祀財産)
次のような財産は、祭祀財産といい、「祖先の祭祀を主宰すべき者」が単独で承継します。遺産分割の対象とはなりません。
・お墓
・位牌
・仏壇
・家系図
遺産の分け方には、主に「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3つの方法があります。
遺産の内容や相続人の事情に応じて、これらの方法を組み合わせて遺産分割を行います。
A:遺産をそのままの形で分ける方法です。
例えば次のような分け方です。
このように遺産を売却せず、そのままの形で各相続人が取得する方法を現物分割といいます。最もシンプルな方法ですが、不動産など価値の大きい財産がある場合は公平な分割が難しいこともあります。
A:特定の相続人が遺産を取得し、その代わりに他の相続人へお金(代償金)を支払う方法です。
例えば次のようなケースです。
不動産は分けることが難しいため、相続実務ではよく利用される方法です。
A:遺産を売却して、その売却代金を相続人で分ける方法です。
例えば、
といった方法です。
不動産の評価で争いがある場合や、誰も不動産を取得したくない場合などに選ばれることが多い方法です。
A:遺産分割協議は、一般的に次のような流れで進めます。
以下、それぞれの内容を説明します。
A:最初に相続人を確定する必要があります。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。相続人の一人でも欠けた状態で行われた遺産分割協議は無効となります。
また、「包括受遺者」「相続分の譲受人」がいる場合には、これらの人も協議に参加する必要があります。
相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍(戸籍・除籍・改製原戸籍)をすべて収集して確認する必要があります。
が判明することもあるため、戸籍調査は必ず行う必要があります。
A:公正証書遺言であれば、公証役場で検索することができます。
相続開始後であれば、相続人は最寄りの公証役場で遺言検索システムを利用して公正証書遺言の有無を確認することができます。検索手数料は無料です。
ただし、この検索システムは昭和64年1月1日以降に作成された遺言が対象です。遺言の存在が確認できた場合は、謄本の交付を請求することができます。
なお、相続人が自筆証書遺言を保管していた場合は、家庭裁判所で検認手続が必要です。
もっとも、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用していた場合は検認は不要です。
例えば次のような争いが生じることがあります。
合意できない場合は、民事訴訟で争われることもあります。
また、遺産の評価で特に問題となるのは不動産です。不動産の評価は、
などによって行われます。通常、遺産の評価は実際に遺産分割を行う時点の価値で判断されます。
A:相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる分け方も可能です。
例えば、
といった分割も可能です。
また、遺言がある場合でも、相続人全員が合意すれば遺言と異なる遺産分割をすることもできます。
A:遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、
などの手続で必要になります。そのため、遺産分割が成立した場合には必ず作成する必要があります。
遺産分割協議書を作成後は、協議書に従って財産の名義変更などを行います。
A:遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合って決めた遺産の分け方を記載した文書です。
相続が発生した場合、相続人全員で遺産の分け方を話し合うことを遺産分割協議といいます。その協議の結果を文書にまとめたものが遺産分割協議書です。
遺産分割協議書は、相続人全員が署名し、実印を押印することで完成します。
この書類を作成しておくことで、相続人全員の合意に基づいて遺産分割が行われたことを証明することができます。
A:遺産分割協議書は、さまざまな相続手続で必要となる書類だからです。
例えば次のような手続で必要になります。
・預貯金の解約や名義変更
・不動産の相続登記
・相続税の申告
また、遺産分割協議書を作成しておくことで、後日の相続人間のトラブルを防ぐことにもつながります。
②誰がどの遺産を取得するのか明確に記載する
協議書には、どの相続人がどの財産を取得するのかを具体的に記載する必要があります。
③不動産は登記事項証明書どおりに記載する
不動産を記載する場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)の記載どおりに正確に記載する必要があります。
④預貯金は口座情報を正確に記載する
金融機関名、支店名、口座種別、口座番号等を記載します。
⑤住所は住民票どおりに記載する
相続人の住所は、住民票の記載どおりに記載します。
⑥後から見つかった遺産の扱いを決めておく
遺産分割協議後に新たな財産が見つかることもあります。そのため、「特定の相続人が取得する」、「再度協議する」など、後日発見された財産の取り扱いを決めておくことが望ましいです。
⑦署名・実印押印と印鑑証明書
遺産分割協議書には、各相続人の自筆署名、実印による押印が必要です。通常、印鑑証明書も添付します。
⑧複数ページになる場合は契印をする
協議書が複数枚になる場合は、用紙のつなぎ目に相続人全員の契印(割印)をします。
なお、印紙は不要です。
A:相続人が自分の相続分を他の人に譲ることを「相続分の譲渡」といいます。
相続では、被相続人との関係や相続人同士の関係によって、
と考える人もいます。
そのような場合に、自分の相続分を他の相続人などに譲る方法が相続分の譲渡です。
A:状況によっては相続分譲渡を選ぶこともあります。
相続したくない場合には、一般的には相続放棄を検討します。相続放棄をすると、法律上は最初から相続人でなかったものと扱われます。
その結果、
ということになります。
しかし例えば、「特定の相続人に自分の取り分を渡したい」といった事情がある場合には、相続分の譲渡を選ぶこともあります。
例えば、
といった方法も可能です。
A:相続分譲渡をしても、相続債務の支払義務はなくなりません。
相続分譲渡は相続人間の関係での権利移転にすぎません。
そのため、相続債務(借金)については、債権者との関係では責任を免れることができない場合があります。
したがって、被相続人に借金がある場合には、相続分譲渡ではなく相続放棄を検討する必要があります。
A:いいえ。現金は自動的に分割されるのではなく、遺産分割の対象になります。
原則として遺産分割協議が成立するまでは、法定相続分に応じた現金の支払いを求めることはできないとされています。
この点について、最高裁判所は次のように判断しています。
最判平成4年4月10日
相続人は、遺産分割までの間、相続開始時に存在した金銭を保管している他の相続人に対し、自己の相続分に相当する金銭の支払を求めることはできない。
したがって、現金については遺産分割協議を行って分配方法を決める必要があります。
A:現在の判例では、銀行預金も遺産分割の対象になるとされています。
かつての最高裁判例では、預金は相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に分割されるとされていました。そのため、理論上は各相続人が自分の相続分に応じた払戻しを請求できるとされていました。
しかし、平成28年12月19日の最高裁判決により、判断が変更されました。
この判決では、銀行預金も遺産分割の対象になると判断されました。その結果、預金は当然には分割されず、遺産分割協議で分配方法を決める必要があるという扱いになりました。
現在の相続実務では、現金や預貯金はいずれも遺産分割の対象となる財産として扱われています。
A:一定の条件のもとで、相続人が単独で預貯金の払い戻しを受けることができる制度があります。
平成30年の民法改正により、遺産分割前の預貯金払戻し制度が創設されました。
この制度は、
など、緊急性の高い資金需要に対応するために設けられた制度です。
A:次の計算式で算出される金額まで、相続人が単独で払い戻しを受けることができます。
相続開始時の預金額 × 1/3 × 法定相続分
ただし、同一の金融機関につき、150万円が上限です(民法909条の2)。
【具体例】
被相続人の預金:1200万円
相続人:子2人
1200万円 × 1/3 × 1/2=200万円>150万円
この場合、各相続人は上限の150万円まで払戻し可能となります。
この制度は、遺産分割前の資金需要に対応するための制度であり、最終的な遺産分割に際して精算される可能性があります。
また、金融機関によっては、戸籍、相続関係説明図、印鑑証明書などの書類提出を求められることがあります。
そのため、手続を進める際には専門家に相談することも検討するとよいでしょう。
A:原則として、借金(債務)は相続開始と同時に相続人へ承継されます。
被相続人に借金があった場合、その債務は相続人が法定相続分に応じて当然に承継するとされています。
例えば、相続人が子ども2人の場合、それぞれが2分の1ずつ借金を引き継ぐことになります。
A:借金は、原則として遺産分割の対象にはなりません。
借金は、相続開始と同時に法定相続分に応じて分割して承継されるとされています。
そのため、遺産分割協議で「誰が借金を負担するか」を決めるものではありません。
A:相続人同士の合意としては可能ですが、債権者には原則として対抗できません。
例えば、
・事業を承継する相続人が事業用借入を引き継ぐ
・不動産を取得する相続人が住宅ローンを支払う
といった合意をすることがあります。
このような合意は相続人同士の関係では有効です。
しかし、債権者(銀行など)との関係では、債権者の承諾がない限り効力は生じません。
A:相続人だけで債務者を変更すると、債権者に不利益が生じる可能性があるためです。
例えば、相続人の話し合いで、資力のない相続人が借金を負担すると決めた場合、債権者は回収できなくなるおそれがあります。
そのため、債務者を変更するには債権者の承諾が必要とされています。
A:借金が多額である場合には、相続放棄を検討する必要があります。
相続放棄をすると、初めから相続人でなかったものと扱われ、借金を引き継ぐこともないという扱いになります。
ただし、相続放棄には原則として3か月以内という期限がありますので注意が必要です。
A:団体信用生命保険(団信)に加入している場合は、住宅ローンが完済されることが多いです。
現在の住宅ローンでは、多くの場合、団体信用生命保険(団信)に加入しています。
この場合、ローン契約者が死亡したとき、保険会社が残りのローンを支払うため、住宅ローンが相続人に引き継がれないケースが一般的です。
こちらに詳しくまとめていますので、ご参照ください。
相続人に認知症の人がいる場合どうする?遺産分割の進め方を弁護士が解説
こちらに詳しくまとめていますので、ご参照ください。
相続人と連絡が取れない...どうすればいい?遺産分割の進め方
未成年者は、単独では有効な法律行為をすることができず、法律行為を行うには法定代理人が代理するか、法定代理人の同意が原則として必要です。そして法定代理人には通常親権者がなります。
しかし、遺産分割協議は、共同相続人の間で被相続人の遺産をどう分けるかという問題ですので、実際には対立がなくとも、客観的外形的には共同相続人間に利害対立があることになります。
従って、共同相続人の中に未成年者がいる場合には、たとえ親権者であっても、子である未成年者の代理をすることは、その未成年者の利益を害するおそれがあり許されないとされています。
このような場合、親権者は子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。
未成年者が2人いれば、それぞれについて特別代理人の選任が必要です。
未成年者が相続放棄をする場合も、親権者との間で外形的に利害対立があります(親権者の相続分が増大する)ので、特別代理人の選任が必要です。
特別代理人には、相続人でない親族(おじ、おば等)や弁護士が選任される場合があります。
特別代理人を選任しないでなされた遺産分割協議は、無権代理行為として、未成年の子が成人に達した後に追認しない限り無効ととなります。
養子縁組とは、血縁関係では親子でない者を法律上の親子としてしまう制度です。わが国では、普通養子と特別養子の2種類があります。
普通養子は、養子になった後も実方との親族関係はそのまま存続しますが、特別養子は実方との親族関係が終了しますので、縁組の日から当然に実方との間の親権・扶養・相続の関係も消滅します。
これは特別養子が、実親が経済的に困窮していて子育てが著しく困難な状態であったり、子供を虐待しているような場合に、家庭裁判所が「子の利益のために特に必要がある」と認める場合に審判により成立させるもので、6歳未満の子を保護することを目的としているからです。
従って、普通養子であれば、実親と氏や戸籍が異なっていても、共同相続人として実方について平等の相続の権利があります。
養親との相続関係は、実親に対する相続の権利とは別個の問題であり、仮に養親を相続していたとしても、実親についての相続には影響を及ぼしません。つまり、実方・養方と二重に相続できることになります。
一方、特別養子の場合は、養方の相続のみが可能となります。
胎児は、相続については、「既に生れたものとみなす」とされています(民法886条1項)。
したがって、胎児も相続権があることになります。
しかし、この規定は、「胎児が死体で生れてきたときは、適用しない」(同2項)とされていますので、胎児が生きて生まれてくれば、相続の開始時にその子が既に生まれていたものとみなして相続人となることが認められ、流産・死産などの理由で胎児が生きて生まれなかった場合は、相続については、最初から胎児はいなかったものとして取り扱われることになります。
また、生きて生まれてきたときに、相続開始時にさかのぼって既に生まれていたものとみなされるわけですから、出生するまでは、胎児を代理して遺産分割協議をすることはできません。
胎児の出生後に遺産分割をする場合であっても、母親と子は形式的には相続に関し、利害が対立することになりますのでたとえ親権者であっても子を代理して遺産分割協議をすることはできません(参照:「5 相続人に未成年者がいるとき」)。
母親が相続放棄をしない限り、通常は、特別代理人の選任が必要となります。
既に述べたとおり、遺産分割協議は、相続人全員で行わなければならず、相続人の一人でも欠いた遺産分割協議は無効です。
従って、相続人の1人が行方不明(又は連絡が取れない)からといって、その行方不明の者を欠いて遺産分割協議をしても無効となります。
では、このような場合に遺産分割協議をするにはどのように対応すればいいのでしょうか。
① 失踪宣告制度
不在者の生死が7年間明らかでないとき、利害関係人は、家庭裁判所にその者の失踪宣告をしてもらうことができます(民法30条1項)。失踪宣告がなされると、その不在者は、不明になってから7年経過したときに死亡したものとみなされます(民法31条)。
従って、その不在者の相続人がいる場合には、その者を遺産分割協議に加え、相続人がいない場合は、他の相続人の間で遺産分割協議を行うことができることになります。
失踪宣告制度を利用する場合、従前は失踪宣告に必要な公告期間が普通失踪の場合6か月以上とされていたため、失踪宣告の申立てから不在者が死亡したとみなされるまで1年弱ほどの期間が必要でしたが、平成25年1月1日以降に施行された家事事件手続法においては、普通失踪の公告期間を3か月以上を要すると改められており、期間が短縮されました。
公告期間満了後、失踪宣告の審判がなされ、審判の告知を受けた日から2週間以内に不服申立てがなければ審判は確定します。確定後、申立人は、確定から10日以内に審判書の謄本を添付して役場に届け出る必要があります。
② 不在者財産管理人を選任する。
生死不明の状態が7年に満たない場合や、行方不明ではあるけれども連絡が取れないだけで、どこかで生きているのは確実であるという場合には失踪宣告の申立はできません。また、失踪宣告の要件を満たしていても、「死亡したものとみなす」ことへの家族感情などから、失踪宣告は申し立てたくないという場合があります。
このような場合、利害関係人は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立て、その選任された財産管理人が、不在者に代わって法的に有効な遺産分割協議をすることができます(民法25条)。
但し、不在者の利益を害するような内容の遺産分割協議については、裁判所の許可が得られない可能性が高いので、遺産分割の内容については、家庭裁判所と事前に相談しながら進めることも重要です。
「不在者」とは、「従来の住所又は居所を去った者」を指し、生死が明らかであるか否かは問いません。そして、このような「不在者」が、自己の財産を自ら管理できるようになるまでの間、一時的に不在者の財産を管理するための制度が、不在者財産管理人制度です。
不在者財産管理人には、第三者(利害関係の無い他の親族、弁護士等)が選任される場合が多いようです。
不在者財産管理人制度と失踪宣告の制度は、前者が不在者の財産を管理するための一時的な制度であることから、生死が明らかであるか否かを問わず「不在者」であれば足りるのに対し、後者は、不在者を死亡したものとみなす制度であるため、生死不明の状態が一定期間継続していることが必要とされているのです。
両制度とも、必要書類の準備や裁判所の説明を適切に行う必要がありますので、専門家に依頼されることをお勧めします。
賃借権は相続の対象となりますので、相続人が複数の場合、相続分割合で相続します。
無償で「貸してもらう」権利である使用借権は、借主の死亡により終了しますが、賃借権は相続しますので、貸主も借主も注意(対応)が必要です。
使用貸借は、無償で貸す契約ですから、貸主と借主との間に特殊な人的関係があることが一般的であり一身専属性がありますが、対価を払って借りる賃貸借にはそのような一身専属性は通常無いからです。
遺産の中に株式があった場合、株式は、預金債権のように相続開始時に法定相続分に応じて当然に分割されるわけではなく、遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議が成立した後、株式の取引口座の移管手続と株主名簿の名義変更手続が必要となります。手続に必要な書類については、各証券会社、発行会社の名義書換代理人である各信託銀行等によって異なりますので、個別に相談しておくようにしましょう。
【質問】
亡くなった被相続人が、相続人の1人である私を生命保険金の受取人としてくれており、多額の保険金を受領しました。この保険金について遺産分割が必要でしょうか。
【回答】
保険金受取人として特定の人が指定されている場合、受取人は、保険契約の当然の効果として、保険金請求権を取得します。
相続人としてではなく、受取人として、つまりあくまでも保険契約における固有の請求権として取得することとなりますから、相続財産とはならず、遺産分割の対象にはなりません。
従って、基本的には遺産分割の必要はありません。
また、遺留分侵害額請求の原因ともなりません。
保険金の請求も、受取人一人で手続きを行うことが可能です。
なお、保険金受取人が、単に「相続人」と指定されている場合、判例は、特別の事情がない限り、受取人は保険金請求権が発生した当時の相続人全員となり、各相続人が法定相続分の割合で請求権をそれぞれ固有の権利として取得するとしています。
被相続人が賃貸マンションなどの収益不動産を所有していた場合、遺産分割が成立するまでの間も、賃料・家賃収入が入ってきますが、これらは、どのように処理すべきでしょうか。
最高裁判例(平成17年9月8日判決)は、「賃貸不動産から生じた賃料収入は遺産とは別個の財産であって、各共同相続人がその相続分に応じて取得し、この権利は後の遺産分割の影響は受けない」と判断しました。
従って、後に相続人の1人が賃貸マンションを取得することになっても、遺産分割が成立するまでの賃料収入は相続人が相続分に従って分割単独債権として取得することになります。
もっとも、実務上は、共同相続人全員で合意があるときは、賃料のほか、配当収入、預金利息等の法定果実も遺産と一括して遺産分割の対象とすることが一般的です。
実際の紛争では、管理費・共益費・修繕費・保険料・公租公課・所得税申告費用などを賃料収入から控除するなどの合意形成を試みることが多いのが実情です。
【ご質問】
子供2人が独立後、長年夫と二人で暮らしてきましたが、先般、夫が亡くなり、相続が開始しました。夫が亡くなってすぐ、次男が、私に対し、夫と暮らしてきた家から立ち退き、立ち退くまで賃料を支払え、と言ってきました。従わなければならないのでしょうか。
【回答】
結論から申しますと、原則として遺産分割がまとまるまで、不動産を明け渡す必要はありませんし、賃料を支払う必要もありません。
相続が開始すると、あなたが夫と暮らしてきた不動産は、あなたと子2人の共有となります。共有者は、自己の持分によってい共有物を使用収益する権原を有し、これに基づいて共有物を占有すると認められるからです。
最高裁判決(平成8年12月17日判決)は、被相続人と相続開始前から同居してきた相続人は、特段の事情がない限り、相続開始後も、遺産分割により建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き同居の相続人に無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるとしています。
他の相続人からご質問のような明渡しを求められた場合には、一度、専門家にご相談されることをお勧めします。
遺言を見つけたときには、検認等の手続をまずしなければなりませんので注意しましょう。
発見された遺言の内容が、相続財産の全部又は一部を、ある相続人に相続させるか、遺贈する遺言であった場合には、その財産は、遺産分割の対象となりません。従って、そのような財産を含む遺産分割協議は、原則として無効となります。
もっとも、相続させるとされた相続人や受遺者が権利を放棄し、分割協議どおりでよいという場合には、協議の内容を維持することが出来ます。
相続が発生した場合に、相続人が海外に居住していることも当然ありえます。このような場合であっても、被相続人の遺産分割については日本の民法が適用されますので、相続人全員が遺産分割協議に参加しなければなりません。海外にいる相続人を除いた遺産分割協議を行っても無効です。
遺産分割協議が成立すると、遺産分割協議書を作成しますが、この協議書には相続人全員の署名と実印の押印、印鑑証明書の添付が必要です。
銀行手続や不動産の登記申請を行う際には住民票や戸籍事項証明書の提出が求められます
1 印鑑証明書の代わりとなる書類
海外のほとんどの国では、印鑑証明書や住民票の制度がありませんので、海外在住の相続人は、実印を押して印鑑証明書を添付することが出来ません。
この場合、印鑑証明書の代わりに、日本領事館等に赴いてサイン証明を貰い、これを遺産分割協議書に添付します。
登記申請もこのサイン証明の添付で可能になります。
2 住民票の代わりとなる書類
不動産の相続登記を申請する際、住民票の添付が必要です。
在外邦人の場合、戸籍附票・住民票に外国住所の記載はもちろんありませんので住民票の代わりに住所を証明する書類として「在留証明書」を提出します。
日本領事館等に出向いて取得します。
3 戸籍の代わりとなる書類
海外で帰化している場合、戸籍がありませんので、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書等で代替します。
4 その他(相続人が海外にいるが、所在不明の場合)
相続人の一人が海外にいることは分かっているが、その所在が不明で音信不通の場合、裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行い、同管理人に遺産分割協議に参加してもらうことを検討します。

海外在住の相続人がいるケースでお困りの方へ
相続人に海外在住の方がいる場合、相続手続は意外と大変です。
金融機関や法務局によって対応や必要書類が異なる場合があり、その都度対応していかなければなりません。
銀行の場合、窓口の担当者では分からず、本部に問い合わせが必要ということで数日待たされる場合もあります。
海外在住の方が現金を相続する場合、そもそも送金手続に難儀することもあります。
登記申請をするにあたり、サイン証明だけでは足りず、遺産分割協議書に公証人の認証を要求されたこともありました。
一時帰国して手続きを行うとっても実際は難しい場合も多々ありますので、日本滞在期間については余裕を持たせておいた方がよいでしょう。事前に国内の専門家に相談しておかれることをお勧めします。
当事務所でも、海外に相続人がいらっしゃる方の相続手続について、複数担当させて頂きましたが、正直、毎回大変です。
これまでの経験はお伝えできると思いますので、ご依頼をご希望の場合はお問合せ下さい。
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遺産分割協議の際、葬儀費用(通夜・告別式等)の分担をめぐって争いが生じることがあります。
しかし、葬儀費用は相続開始後に発生した債務で、相続債務ではありません。原則として喪主が負担することになると考えるのが一般的です。したがって、葬儀費用を負担した者が当然に他の相続人に費用負担を求めることは出来ません。
もっとも、話し合いにより、遺産(相続財産)から支出したり、各相続人が相続分などに応じて分担することも勿論可能ですし、実際にそのようにしている場合も多いと思われます。
葬儀費用の支出金額や分担について、親族間で解決出来ない場合は、遺産分割の問題ではなく、民事訴訟で解決することになります。
相続人間の公平を保つための制度として、特別受益(民法903条)及び寄与分の制度(民法904条の2)があります。
相続分は、通常法定相続分によって決まりますが、これらの制度によって修正されることがあります。
特別受益の制度についてはこちらをご参照下さい→特別受益を主張したい
(ご質問)
私は夫の死亡後、夫の母(義母)を長年にわたり、療養看護してきました。義母が亡くなった場合、私は義母の相続財産について、何らかの主張ができるのでしょうか。
(平成30年相続法改正後の回答)
平成30年の法改正により、被相続人に対し、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与を行った被相続人の親族は、相続人に対し、寄与に応じた金銭を請求することが出来るようになりました。
これにより、介護等の貢献に報いることができ、関係者の実質的公平が図られることが期待されます。
この特別の寄与について協議が調わない場合には、特別寄与者は、家庭裁判所に対し、協議に代わる処分を請求できることとされています。
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