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離婚訴訟とは|裁判に進む条件・流れ・証拠の立証を神戸の弁護士が解説

離婚訴訟に臨まれる方へ(離婚訴訟の基礎知識)

 離婚調停を重ねたものの、どうしても合意に至らず、「離婚訴訟に進むべきか」「裁判になったらどうなるのか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

 離婚訴訟は、調停とは異なり、厳格な手続のもとで、主張と証拠によって結論が判断される裁判手続です。
 どの事実をどのように主張し、何を証拠として提出するかによって結果が大きく左右されることも少なくありません。

このページでは、
・どのような場合に離婚訴訟に進むのか
・離婚調停と離婚訴訟の違い
・裁判の流れと実際の進み方
・裁判で重視される「離婚原因」と証拠の考え方
・弁護士に相談・依頼すべきタイミング

について解説します訴訟を検討している方は、判断材料としてお読みいただければと思います。

離婚訴訟とは|家庭裁判所で離婚を争う「最後の手段」

 離婚訴訟は、協議離婚や離婚調停では解決できない場合に、当事者の一方が家庭裁判所に離婚を求める訴えを提起する手続です。

 調停が不成立に終わったときや、相手が離婚に応じない、条件の折り合いがつかないときなど、法的な判断を裁判所に委ねたい場合に選択されます

 
離婚訴訟は法律上の要件や証拠が重要になるため、一人で進めるには負担が大きく、弁護士に依頼することが一般的・合理的です。

どのような場合に離婚訴訟になるのか?

 離婚訴訟は、以下のようなケースで検討されます。

  • 協議離婚で条件がまとまらない→離婚調停を実施
  • 配偶者が離婚を拒否している、養育費・親権・財産分与など離婚条件の合意ができない

 このような場面では、話し合いで解決するのが困難になり、裁判を通じた法的な判断が必要になります。

離婚調停と離婚訴訟の違い

  離婚調停 離婚訴訟
目的 話し合いで合意を目指す 裁判所が判断する
強制力 なし 判決・法的拘束力あり
証拠 不問のこともある 書面・証拠中心
時間 比較的短期 長期化しやすい
方法 口頭 書面
管轄裁判所 相手方の住居地 いずれかの住居地
弁護士 必須ではない 事実上必須

 調停は「合意を促す場」であるのに対し、訴訟は「裁判官が法的に判断する場」です。
 調停での解決が出来ず、すぐに離婚を実現したい場合、離婚訴訟を提起することになります。

離婚訴訟の流れ

①訴状の提出
 離婚原因、主張・証拠を裁判所に提出
②弁論(複数回。通常は、数か月~1年以上)
 書面により双方の主張、争点を整理していきます。
 証拠の提出・尋問など
③判決・和解
 裁判所が離婚の可否を判断します。
 判決ではなく、和解離婚が成立する場合もあります。

 離婚訴訟は調停以上に、主張及び証拠の提出の仕方が重要になります。

離婚訴訟で争われる主なポイント

裁判では、当事者が主張する内容について、裁判官が事実関係を審査します。
代表的な争点は次のとおりです。

  • 離婚原因(不貞・DV・婚姻破綻の有無など)
  • 親権・養育費
  • 財産分与
  • 慰謝料

訴訟では、これらを書面・証拠で裏付けることがポイントになります。

離婚訴訟は弁護士に相談・依頼すべきか?

 離婚訴訟の段階に入った場合、弁護士への相談・依頼を強く検討すべき局面といえます。

 離婚調停までであれば、裁判所も比較的柔軟に進行し、口頭での説明が中心となる場面も少なくありません。
 一方、離婚訴訟は、民事訴訟法に基づく厳格な手続で進められます。
 訴訟では、
・訴状・答弁書
・準備書面
・証拠書類

 といった書面による主張と立証が中心となり、裁判所が求める形式や内容を満たしていなければ、主張そのものが十分に評価されないこともあります。

手続の複雑さと専門性の高さ

 訴訟手続では、裁判官や書記官が使用する専門用語や進行の意味が分からず、「今、何が起きているのか分からない」と感じてしまう方も少なくありません。

 また、主張の組み立て方や証拠の出し方といった細かな巧拙が、結果に影響を与える場面もあります。法的な枠組みの中で整理して伝える必要があります。

時間的・精神的な負担も大きくなります

 離婚訴訟は、数か月から1年以上かかることも珍しくありません。
 その間、書面作成や証拠収集に時間を割かなければならない、対立構造の中で精神的な緊張が続く、といった時間的・精神的負担が積み重なります。

 一人で対応し続けることは大きな負担になります。

公開の場で行われるという点にも注意が必要です

 離婚調停とは異なり、離婚訴訟は原則として公開の法廷で行われます。

 そのため、夫婦間の問題や家庭内の事情が、法廷という公の場で明らかにされることになります。
 この点についても、心理的なハードルを感じる方は少なくありません。

実務上、訴訟段階から依頼される方は多いです

 実際には、「調停までは自分で対応していたが、訴訟になってから弁護士に依頼する」
というケースは非常に多く見受けられます。

 訴訟に進むかどうか迷っている段階でも、一度弁護士に相談し、
・今後の見通し
・主張すべきポイント
・証拠の整理の方向性
を確認しておくことで、無用な不安や遠回りを避けることができます。

離婚訴訟で主張・立証が必要となる「離婚原因」とは

 離婚訴訟では、「なぜ離婚が認められるべきか」という理由、すなわち法律上の離婚原因を主張し、それを裏付ける証拠によって立証する必要があります。

 民法は、裁判で離婚が認められる場合を限定しており、定められている離婚原因は、次のとおりです(民法770条1項)。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 回復しがたい強度の精神病
  • 婚姻を継続しがたい重大な事由

※なお、「回復しがたい強度の精神病」は、令和6年の法改正により削除される予定とされています。

実務上の中心となるのは「婚姻を継続しがたい重大な事由」

 これらのうち、実際の離婚訴訟で最も重要な位置づけを持つのが、「婚姻を継続しがたい重大な事由」です。
 家庭裁判所の実務では、
・不貞行為
・悪意の遺棄
といった個別の離婚原因も、多くの場合は「婚姻を継続しがたい重大な事由」の一つの事情として評価される、いわば例示的な要素と理解されています。

つまり、夫婦関係が全体として修復困難な状態にあるかどうかが、離婚の可否を判断する上での核心となります。

裁判所が総合的に考慮する主な事情

離婚訴訟では、次のような事情が総合的に検討されます。

  • 婚姻期間の長さ
  • 別居の経緯
  • 別居の有無や期間
  • 同居再開に向けた働きかけの有無
  • これまでの夫婦関係の経緯
  • 破綻に至った原因や経過
  • 双方の性格や生活状況

 これらを踏まえて、婚姻関係が社会通念上、もはや回復しがたい状態にあるかどうかが判断されます。

離婚原因はどのように証拠で立証するのか

 離婚訴訟では、「離婚原因がある」と主張するだけでは足りません。
 その主張が客観的な事実として裏付けられているかが厳しく確認されます。

 裁判では、「本当にそのような事実があったのか」「婚姻関係が回復不能な状態といえるのか」が、証拠に基づいて判断されます。

証拠とは何か

 証拠とは、「あなたの主張が事実であることを第三者(裁判官)が確認できる資料」のことです。
 たとえば、次のようなものが証拠として用いられます。

  • LINE・メール・SMSなどのやり取り
  • 音声の録音データ
  • 写真・動画
  • 日記・メモ
  • 診断書や通院履歴
  • 警察や行政機関への相談記録
  • 第三者の陳述書

 重要なのは、感情や主観ではなく、客観的な資料に基づく事実を示すことです。

離婚原因ごとに重視される証拠の例

①不貞行為の場合

  • 宿泊や肉体関係を推認できる写真・動画
  • 探偵報告書
  • 当事者間のメッセージ履歴

 単なる「親しそうなやり取り」だけでは足りず、男女関係があったことを推認できる証拠が必要になります。

②悪意の遺棄の場合

  • 生活費を支払っていないことが分かる資料
  • 別居の経緯を示す記録
  • 家庭を顧みない言動の記録

「性格の不一致」ではなく、扶養義務を意図的に放棄したことが問題になります。

③婚姻を継続しがたい重大な事由の場合

  • 長期間の別居を示す資料
  • 継続的な暴言・無視などの記録
  • 精神的負担が分かる経過資料

 この場合は、一つの出来事ではなく、これまでの経緯を積み重ねて示す証拠が重要です。

「証拠が完璧」である必要はありません

 多くの方が誤解されていますが、証拠は完璧に揃っていなければならないものではありません

 家庭内の出来事は密室で起きるため、裁判所も、証拠の数、内容の自然さ、時系列の一貫性などを総合的に評価します。

 日記やメモのような資料も、他の証拠と整合していれば、有力な補強材料になります。

本格的な争いになる前に証拠を整理しておくことが重要です

 相手が事実を認めないことに直面し、慌てて証拠を集めようとしても間に合わないことがあります。

  • 別居によって録音ができなくなる
  • メッセージが削除される
  • 記憶が曖昧になる

といったことは珍しくありません。
 離婚を検討し始めた段階から、協議や調停で離婚できず、訴訟となってしまう可能性も必ず頭に入れておき、どの事実を、何で立証するのかを整理しておくことが重要です。

自分のケースで、何が証拠になるかは専門的判断が必要です

「これは証拠になるのか」
「提出すると逆効果にならないか」
こうした判断は、個別事情によって大きく異なります。

 場合によっては、あえて出さない方がよい証拠もあります。
 離婚訴訟を視野に入れる段階では、一度弁護士に相談し、証拠の整理や見通しについて助言を受けることで、不要な不安や遠回りを避けることができます。

離婚訴訟で主張・立証する離婚原因(不貞行為)

 不貞行為は、裁判上の離婚原因として民法に明確に定められています(民法770条1項1号)。
 裁判実務において「不貞行為」とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づき、配偶者以外の異性と性的関係を持つことを意味します(最高裁昭和48年11月15日判決)。

 そのため、単なる食事や連絡のやり取り、好意の表明などがあったとしても、肉体関係が認められなければ、原則として「不貞行為」には該当しません。

肉体関係がなくても離婚原因になる場合

 もっとも、性的関係が立証できない場合であっても、交際の態様や頻度、夫婦関係への影響の程度によっては、
・配偶者への配慮を欠いた密接な異性交際
・長期間にわたる親密な交際関係
・婚姻関係を実質的に破綻させたと評価できる行為

がある場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)として離婚原因が認められることもあります。

不貞行為があれば必ず離婚できるわけではない

 注意すべき点として、不貞行為が認められたからといって、必ず離婚が認められるとは限りません。
 裁判では、不貞行為の有無だけでなく、

  • 子どもの有無・年齢
  • 婚姻期間
  • 双方の生活状況・収入・資産
  • 不貞発覚後の経緯や態度
  • 夫婦関係がどの時点で破綻したのか

といった一切の事情を総合的に考慮したうえで、離婚の可否が判断されます。
 たとえば、一度限りの不貞行為であり、本人が深く反省し、その後夫婦関係の修復が試みられているようなケースでは、離婚請求が認められないこともあります。

裁判で重視されるポイント

 不貞行為を理由に離婚を求める側としては、単に「不貞があった」ことを主張するだけでなく、
・不貞行為が継続的・反復的であったこと
・その結果、婚姻関係が回復困難な状態に至っていること

を、証拠に基づいて具体的に立証していくことが重要になります。

 どのような証拠が必要か、どのように主張を組み立てるかは事案ごとに異なります。
 離婚訴訟を見据えている場合には、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが望ましいでしょう。

 不貞行為について詳しく知りたい方は、 本ページだけでなく、こちらの専門解説ページもご覧ください。
 ➤ 不貞行為(不倫)と離婚・慰謝料 | 意味・証拠・裁判実務

離婚訴訟で主張・立証する離婚原因(3年以上の生死不明)

 「3年以上の生死不明」は、裁判上の離婚原因の一つです(民法770条1項3号)。

 ここでいう生死不明とは、単なる音信不通では足りず、最後に生存が確認できた時点から3年以上にわたり、生存・死亡のいずれも確認できない状態が続いている場合をいいます。
 相手方が生死不明である以上、話し合いや調停による解決は現実的ではありません。そのため、この類型では調停前置主義の例外として、調停を経ずに直接離婚訴訟を提起することが認められています。

行方不明の場合の離婚訴訟の進め方

 相手方の所在が不明の場合、裁判所への書類送達ができないため、公示送達の申立てを行います。
 裁判所の掲示場に一定期間掲示することで、送達されたものと扱われ、裁判手続が進行します。
 ただし、公示送達は相手方の身分関係に大きな影響を及ぼすため、裁判所は慎重に判断します。
 通常、戸籍の附票や住民票による調査、行方不明に至った経緯、音信不通の期間、捜索の有無などを詳細に記載した報告書を提出することが求められます

実務上の位置づけ

 この「3年以上の生死不明」を理由とする離婚訴訟は、実務上は非常に例外的なケースです。多くの離婚訴訟では、「婚姻を継続しがたい重大な事由」が中心的な離婚原因となります。
 もっとも、行方不明や長期の音信不通といった特殊事情がある場合には、通常とは異なる対応が必要となるため、早い段階で弁護士に相談し、適切な手続を検討することが重要です。

離婚訴訟代理人サポート

 離婚訴訟まで進んでしまった場合、当事者ご自身だけで手続きを続けることは大きな負担となります。

 当事務所では、調停後・訴訟段階からのご依頼も含めて、離婚訴訟の代理人をお引受けしています。実際、訴訟に入る段階で初めて弁護士への依頼を検討される方も少なくありません。
 ただし、調停での経過や争点の性質、証拠関係を踏まえ、ご本人の希望されている方針によっては、ご依頼をお受けできない場合もございます。

 訴訟段階からのご依頼をご検討の方は、まずは法律相談にて、現在の状況と今後の見通しをご確認ください。

経済的利益

着手金

報酬金

離婚訴訟

440,000円

440,000円
+経済的利益の10%

親権又は面会交流に争いがある場合

10万円加算

10万円加算

※ 「経済的利益」とは、実際に取得できた金額や、減額できた金額を指します  
※ 特別な困難が予想される案件、会社経営者・個人事業主の方につきましては、上記の表に関わらず別途見積書を作成させていただきます。
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弁護士:須山幸一郎

兵庫県弁護士会所属
弁護士登録番号:29617