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「遺言で全て長男に相続させると書いてあった」
「自分には何ももらえないのか?」
「遺留分っていくら請求できるの?」
このような疑問を検索して、このページをご覧になっているのではないでしょうか。
遺留分は「最低限守られる取り分」ですが、計算や期限、請求方法は非常に複雑です。
このページでは、弁護士が基礎から実務まで分かりやすく解説します。
1 まず押さえるべき遺留分の仕組み
2 遺留分侵害額請求の期限(1年・10年のルール)
3 どのような場合に遺留分侵害額請求ができるのか
4 遺留分侵害額請求の流れ
5 遺留分侵害額請求を自分でするか、弁護士に依頼するか
遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された「最低限の取り分」のことをいいます。
たとえば、
「全財産を長男に相続させる」という遺言があっても、他の法定相続人には、法律で決められた一定割合を請求できる権利が残されています。
被相続人は原則として自由に財産を処分できますが、遺された家族の生活保障などの観点から、民法1042条以下でその自由に一定の制限が設けられています。
もっとも、遺留分を侵害する内容の遺言があっても、その遺言が当然に無効になるわけではありません。
侵害された相続人が「遺留分侵害額請求」を行ってはじめて、金銭の支払いを求めることができる仕組みです。
したがって、
請求するかどうかは、権利者本人の判断に委ねられています。
遺留分は、相続人の立場によって割合が異なります。
まずは「遺留分権利者全体に保障される割合」を確認します。
■ 遺留分権利者全体の割合
| 相続人の構成 | 遺留分の割合 |
|---|---|
| 配偶者と子 | 財産の 2分の1 |
| 子のみ | 財産の 2分の1 |
| 配偶者のみ | 財産の 2分の1 |
| 配偶者と直系尊属 | 財産の 2分の1 |
| 直系尊属のみ | 財産の 3分の1 |
※兄弟姉妹には遺留分はありません。
【例】相続人が「配偶者と子1人」の場合
・法定相続分
配偶者:2分の1
子 :2分の1
・遺留分は「全体で2分の1」
・各人の遺留分は
配偶者 → 2分の1 × 2分の1 = 4分の1
子 → 2分の1 × 2分の1 = 4分の1
つまり、被相続人が「全財産を第三者に遺贈する」としても、配偶者と子はそれぞれ財産の4分の1相当額 を請求できることになります。
遺留分の金額は、単に「亡くなった時点の財産」だけで決まるわけではありません。
遺留分算定の基礎となる財産は、次の式で計算します。
■ 遺留分算定の基礎財産
① 相続開始時の財産(遺贈を含む)
+② 一定期間内の生前贈与
-③ 相続債務
亡くなった時点で被相続人が持っていた財産です。
例:預貯金、不動産、株式、遺言で遺贈された財産など
被相続人が生前に行った贈与のうち、一定のものは計算に加えます。
これは、死亡直前に財産を贈与して遺留分を免れることを防ぐためです。
▼ 第三者への贈与
※「損害を加えることを知って」とは、遺留分を侵害する認識があれば足り、加害意図までは不要です。
▼ 相続人への贈与(特別受益)
相続人に対する贈与は、特別受益としての贈与(相続人が結婚や養子縁組のため又は生計の資本として贈与を受けた場合等)に該当し、かつ相続開始前10年以内 のものであれば加算されます。
※「持戻し免除」の意思表示があっても、遺留分計算には加算されるとする最高裁判例があります(最判平成24年1月26日)。
基礎財産から差し引く債務には、借金などの私法上の債務、未払税金、罰金などの公法上の債務が含まれます。
保証債務は、主債務者が無資力で、求償権行使の見込みがない場合に限り控除対象とする裁判例があります(東京高判平成8年11月7日)。
遺留分の紛争は、金額が大きくなるほど「基礎財産の範囲」で激しく争われます。
遺留分を算定するための基礎財産は、すべて「相続開始時(被相続人が亡くなった時点)」を基準に評価します。
これは、生前に贈与された財産であっても同様です。
たとえば、10年前に不動産が贈与されていた場合であっても、贈与当時の価格ではなく、相続開始時点の時価で評価するのが原則です。
相続開始時点での財産状況を基準にしなければ、遺留分侵害額を正確に算定できないためです。
財産の価値は時間の経過とともに変動します。
これらを考慮するため、評価時点は統一されています。
評価時点は「相続開始時」で明確ですが、評価額そのものはしばしば争いになります。
特に問題となるのは
評価額が変わると、遺留分侵害額も大きく変動します。
「実際にいくら請求できるのか?」ここが一番知りたいポイントだと思います。以下の具体例で、遺留分侵害額の計算方法を分かりやすくご説明します。
【事例】
被相続人(甲)が死亡。
相続人は子3人(A・B・C)。
甲は「全財産をAに相続させる」という遺言を作成していました。
① 相続開始時の財産
預貯金:3,400万円
株式:1,200万円(※相続開始時の時価)
債務:600万円
② 生前贈与
Bに200万円(7年前、生計の資 → 特別受益)
愛人Xに100万円(3年前)
計算式は次のとおりです。
・相続開始時の財産
+ 加算対象の贈与
- 相続債務
・今回のケースでは、
3,400万円(預貯金)
+ 1,200万円(株式 ※相続開始時評価)
+ 200万円(Bへの特別受益)
- 600万円(債務)
= 4,200万円
※ 愛人への100万円は「相続開始1年以内の贈与」ではないため今回は加算されません。
子のみが相続人の場合、全体の遺留分は 2分の1
よって、
各人の遺留分額=4,200万円 × 1/2 × 1/3= 700万円
BもCも、形式上は700万円が最低保障額になります。
ここが本題です。
■ Bの場合
Bは過去に200万円の特別受益があります。
700万円-200万円=500万円
本来は500万円が侵害額のイメージになります。
※もっとも、実際の債務承継の扱いなどにより調整が入る場合があります。
■ Cの場合
Cは特別受益がありません。よって、Cは満額の700万円が侵害額となります。
計算式は一見単純に見えますが、実務では次の点で争いになります。
✔ 不動産や株式の評価額
✔ 特別受益に該当するかどうか
✔ 債務を誰がどこまで負担するのか
✔ 「全財産を相続させる」遺言がある場合の債務の扱い
また、判例により、全財産を一人に相続させる遺言があり、当該相続人が相続債務を全部承継したと解されるような場合は、遺留分計算上の債務の扱いが変わるケースも考えられます。数百万円単位で結果が変わることも珍しくありません。
遺留分の計算は、財産の範囲、評価時点、特別受益の有無、債務承継の扱い、判例の適用関係が複雑に絡みます。
「計算を間違えたまま交渉してしまう」ことの無いようにしなければなりません。
遺留分侵害額請求には厳格な期限があります。
もし期限を過ぎてしまうと、どれだけ侵害が明白でも請求できなくなります。これは、相続関係をいつまでも不安定にしないためです(民法1048条)。
ここで重要なのは、単に「贈与や遺贈があった」と知るだけでは足りません。
その贈与や遺贈によって自分の遺留分が侵害されていることを知ることが必要とされています。
とはいえ、実務上は早めに内容証明で請求しておくのが安全です。
たとえ何も知らなかったとしても、相続開始から10年を経過すると、遺留分侵害額請求は一切できなくなります。
これは「除斥期間」と呼ばれ、時効のように中断や完成猶予はありません。
よくある失敗は、「調査が終わってから請求しよう」というものです。
しかし、意思表示をしないまま1年が経過すると、請求できなくなる可能性があります。
遺留分侵害額請求では、
✔ 期限の把握
✔ 早期の意思表示
✔ その後の計算・交渉
という順番が重要です。
遺留分侵害額請求ができるのは、遺留分を侵害する法律行為が存在する場合に限られます。
どのような行為が対象になるのでしょうか。
最も多いのは次の2つです。
例えば「全財産を長男に相続させる」「愛人に財産を遺贈する」といった内容は、遺留分を侵害する可能性があります。
遺留分侵害の対象は、贈与や遺贈に限られません。実務では次のようなケースも問題になります。
これらの結果、特定の相続人が過大に利益を得て、他の相続人の最低保障分が確保されない場合、遺留分侵害が生じ得ます。
遺留分の問題は、「不公平感」から始まることが多いですが、実際には どの行為が侵害行為に当たるのかの分析 が極めて重要です。
遺留分侵害額請求を行えるのは、遺留分を侵害された遺留分権利者です。
具体的には、配偶者・子(代襲相続人を含む)・直系尊属のうち、実際に遺留分が侵害された人が対象となります。
また、請求権は一身専属ではありません。そのため、「遺留分権利者が亡くなった場合」「請求前または請求後に相続が発生した場合」には、その相続人(承継人)が請求権を引き継ぐことができます。
実務では「遺留分権利者が亡くなった後に、子が請求する」ケースも少なくありません。
遺留分侵害額請求の相手方は、
が原則です。
その人が亡くなっている場合には、その相続人(包括承継人)に対して請求することになります。
贈与や遺贈を受けた人が、その財産をさらに第三者に譲渡していた場合でも、次の条件を満たせば請求対象になります。
その第三者が、譲り受けの際に「遺留分権利者に損害を与えることを知っていた」場合(民法1040条1項ただし書)
すなわち、悪意で取得した場合は、特定承継人にも請求できるということです。
遺留分侵害額請求権は、意思表示をして初めて効力が生じる権利(形成権)とされています。
つまり、黙っていても自動的にお金を請求できるわけではなく、「遺留分を請求します」という明確な意思表示が必要です。
必ずしも訴訟を起こす必要はありません。また、請求の段階で具体的な金額まで細かく示さなくても構いません。
実務では、
・受遺者(遺贈を受けた者)
・受贈者(生前贈与を受けた者)
に対し、配達証明付き内容証明郵便で請求する方法が一般的です。
これは、時効との関係で「請求した事実」を明確に残すためです。
意思表示を行った後は、当事者間で金額や支払方法について協議を行います。
この段階で合意できれば、示談書を作成して解決となります。
しかし、
といった場合には、話し合いがまとまらないことも少なくありません。
遺留分に関する紛争は「家庭に関する事件」とされており、家庭裁判所の遺留分侵害額請求調停を利用することができます(家事事件手続法244条)。
そして、原則としては、訴訟を起こす前にまず調停を経る必要があります(調停前置主義)。
ただし、調停による解決が相当でないと裁判所が判断した場合には、調停に付さずに訴訟を進めることも可能です。
実務上は、
といった場合には、調停を経ずに訴訟を提起するケースもあります。
調停を経るべきか、いきなり訴訟を提起すべきかは、
によって大きく異なります。
調停が無駄になるケースもあれば、調停で柔軟な解決ができるケースもあります。
遺留分侵害額請求では、最初の請求方法と手続選択が、解決までの時間と回収額に大きく影響します。見通しを踏まえた戦略的判断が重要になります。
遺留分侵害額請求について当事者間で協議がまとまらない場合、家庭裁判所に「遺留分侵害額請求調停」を申し立てるという方法があります。
これは、裁判官と調停委員を介して解決を目指す話し合いの手続です。
原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
当事者間で合意があれば、別の家庭裁判所でも申立ては可能です。
申立手数料は、
と、手続自体の費用は高額ではありません。
ただし、争点が複雑な場合には、弁護士費用や鑑定費用が問題になることもあります。
調停申立ての際には、次の資料を添付します。
申立書には、いつ、どのような方法で、誰に対して、遺留分侵害額請求を行ったのかを記載します。
遺留分侵害額請求調停は、形式上は一般的な家事調停と同様ですが、
など、専門的な法律判断を要する場面が多く、代理人弁護士が就いているケースが非常に多い分野です。
遺留分調停は「話し合い」の場ですが、
が不十分だと、有利な解決は困難になります。特に、
✔ 相手がすでに弁護士を付けている
✔ 不動産や自社株が含まれる
✔ 生前贈与の有無が争いになっている
といった場合は、早期に弁護士に相談することが重要です。
遺留分侵害額請求調停は「話し合い」の手続ですが、実際には専門的な争点が多く、簡単にはまとまりません。
ここでは、調停で頻繁に問題となる争点と、実務上よくある失敗例を紹介します。
不動産評価は遺留分額を左右する核心部分です。曖昧なまま合意すると、後から覆すことはできません。
相続債務をどう控除するかは、最高裁判例もあり複雑です。
特に、「全財産を相続人の一人に相続させる」という遺言がある場合で、実際に誰が債務を負担しているのかで計算方法が変わる場合があります。
【失敗例】
「結婚資金」「住宅取得資金」「学費援助」などが争いになることが多いです。
【失敗例】
✔ 感情論で争い、法的要件の整理ができていない
✔ 特別受益と認められない支出まで主張してしまう
感情的に対立している
「1円も払わない」と硬直している
自社株や評価難財産が中心
という場合、調停での合意は困難なことがあります。
【失敗例】
✔ 解決見込みが低いのに調停を長期化させる
✔訴訟提起のタイミングを誤る
遺留分事件は、感情と法律が交錯する分野です。冷静な計算と手続戦略が重要です。
遺留分侵害額請求調停が不成立となった場合、次の選択肢は訴訟提起です。
ここで注意しなければならないのは、遺産分割事件とは手続の流れが異なるという点です。
調停は家庭裁判所の管轄でしたが、訴訟は家庭裁判所ではありません。
遺留分侵害額請求訴訟は、地方裁判所又は簡易裁判所(請求額が140万円以下の場合)が管轄します。
訴訟の管轄は複数認められています。
一般的には、
などが検討対象になります。
調停は一律1,200円でしたが、訴訟では請求額に応じた印紙代が必要になります。
請求額が大きい遺留分事件では、印紙代も相応の金額になります。
遺留分侵害額請求訴訟では、
といった法律問題を証拠に基づいて主張立証していくことになります。法的構成と証拠がより重要となります。
結論から申し上げると、遺留分侵害額請求そのものは、ご自身でも可能です。
内容証明を送ることもできますし、調停申立書も本人申立ては可能です。
実際、遺言書に「全財産を長男に相続させる」などと書かれている場合、「自分の遺留分が侵害されているのではないか」と気づくのはそれほど難しくありません。
しかし、問題はその先です。
これらを正確に計算しなければ、本来より少ない金額で妥協してしまう可能性があります。
実務上、請求をしても
と反論されるケースが一般的です。
専門的な法的根拠を示せなければ、交渉は前進しません。
遺留分侵害の交渉では、
✔ 調停になった場合の見通し
✔ 訴訟になった場合の証拠関係
✔ 最終的な回収可能性
までを踏まえて交渉する必要があります。
単に「いくら欲しい」と伝えるだけでは、有利な解決にはつながりません。
遺留分の紛争は、
など、感情的対立が背景にあることが多い分野です。ご本人同士が直接交渉すると、話し合いがこじれやすい傾向があります。
遺留分侵害額請求は、
な分野です。
請求額が数百万円〜数千万円に及ぶケースも多く、判断を誤ると結果に大きな差が生じます。
「自分でもできるか?」を検討されている段階こそ、一度、弁護士に相談し、見通しだけでも確認しておくことが重要といえます。
遺留分は、相続放棄と異なり、被相続人の生前に放棄することも可能です。
従って、相続人廃除のほか、遺留分の事前放棄と遺言を組み合わせることにより、財産を相続させない方法もあります。
但し、遺留分を放棄するためには、遺留分を持つ相続人が、家庭裁判所に対し、遺留分を放棄する手続を行い、家庭裁判所の許可を得る必要があります。つまり、相続させない相続人の協力が必要になります。遺留分を持つ相続人が、親子間での何らかの事情により、「相続しなくてもよい」と言っているような場合に利用できることになります。
申立ては、被相続人の住居地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
遺留分の放棄が認められても、相続権が無くなる訳ではありませんので、必ず遺言でその全財産を、遺留分放棄をした相続人以外の者に相続させたり、遺贈しておかなければなりません。
なお、相続人の一人が遺留分の放棄をしたとしても、他の相続人の遺留分が増えるものではありません。相続放棄があった場合には、他の相続人の相続人が増える場合がありますが、遺留分の放棄は、遺言者が自由に処分できる割合が増えるだけです。
また、遺留分の放棄が認められても、相続放棄をしたことにはなりません。遺留分を放棄した人も、相続が開始すると相続人となります。従って、遺留分の放棄をしたとしても、被相続人に債務がある場合には、債務を法定相続分に従って承継します。遺留分の放棄と相続放棄は別ですので注意しましょう。
| プラン | 着手金 | 報酬金 |
|---|---|---|
| 交渉・調停・訴訟 | 33万円 | 33万円 |
※ 経済的利益とは、遺留分侵害額請求により得られた利益の合計額を意味します。
年間相談・お問合せ件数:200~300件超(常時相当数のご依頼)
最短24時間以内の予約対応が可能です。お気軽にお問合せ下さい。
最短24時間以内のご予約も弁護士のスケジュール次第で可能です。
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